大分舞鶴「勉強するのは宿命」、練習時間約2時間で分単位のメニュー 文武両道校が21世紀枠で初の甲子園

[ 2022年1月29日 05:30 ]

21世紀枠でセンバツ出場を決め帽子を投げて喜ぶ大分舞鶴ナイン(撮影・岡田 丈靖)
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 第94回選抜高校野球大会(3月18日から13日間、甲子園)の選考委員会が28日、オンラインを併用して開催され、出場32校が決まった。21世紀枠では大分舞鶴が選ばれ、春夏通じて初の甲子園出場を決めた。

 午後3時6分、新たな扉が開かれた。校長室に吉報が届くと、大分舞鶴の河室聖司監督は感極まった。指導者歴35年でつかんだ聖地の切符。「昨夏も決勝で負けているので甲子園とは縁がないのかなと。選手の頑張る姿が頭をよぎって、感動してしまいました」。大粒の涙を流し、周囲の職員と抱擁した。

 県内屈指の進学校で昨年の卒業生は310人中、225人が国公立大に進学。野球部員の中には弁護士を志す生徒もいる。昨秋の九州大会では部員全員が宿舎に勉強道具を持参し、大会直前には模試を受けた。「勉強するのは宿命」と文武両道に励んでいる。

 20年以上にわたって土、日、祝日の練習前に学校周辺の清掃活動を続けてきた。大会前には地域の方から差し入れが届くなど後押しされ、指揮官は「はつらつとした野球を見せて地域の人に恩返ししたい」と感謝をプレーで伝えるつもりだ。

 練習時間は約2時間と限られ、3班に分かれて分単位でメニューをこなす。ティー打撃は屈伸してから打つなど、練習の質を上げてきた。テーマは「打ち勝つ野球」。「打」を意識したのは09年に河室監督が大分県高校野球連盟の理事長を務めていた時だった。「大分県が底辺の時代。どこと戦っても打ち負けていた」と打撃を重視してきた。

 昨年は春の県大会で30年ぶりに優勝し、夏は準優勝。昨秋は準優勝して九州大会に駒を進め、大島との1回戦では引き分け再試合の末に2―3で惜しくも敗れたが、準優勝校を相手に一歩も引かなかった。

 新たな目標は聖地での白星だ。甲斐京司朗主将(2年)は「諦めない野球をして、甲子園で1勝したい」と力強く語った。舞鶴野球の歴史に新たな歴史を刻みこむ。(福井 亮太)

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