中村武志氏 殿堂入り山本昌氏との絆は2人で星野監督に殴られて深まった

[ 2022年1月15日 05:30 ]

野球殿堂入り発表

89年4月29日の巨人対中日戦、初回、巨人打線につかまった山本昌(中央右)と話をする中村(同左)
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 山本昌氏と中日で長年にわたってバッテリーを組んだ中村武志氏(54=スポニチ本紙評論家)が殿堂入りを祝福した。90年代に最多勝を3度獲得したときの恋女房。93年に山本昌氏と最優秀バッテリー賞にも輝いた中村氏は息の合った投球や、若手時代に当時の星野仙一監督からともに受けた鉄拳制裁を懐かしんだ。

 マサさん、殿堂入りおめでとう。祝福の連絡を入れると「今度、食事に行こう」と誘われたけど、ここ10年くらい実現していないじゃないですか。今度こそ、お願いしますよ。

 マサさんは1年先輩で年が近く、星野さんに期待されて試合に出られた境遇も一緒。星野さんが監督にならなかったら、2人とも今はないでしょう。私は殴られて鍛えられたけど、一緒のときが一度だけあった。89年4月29日の巨人戦、東京ドームだった。初回に6失点。マサさんのふがいない投球に監督が切れて、ベンチ裏でボコボコですよ。マサさんは慣れていなかったから頭に血が上って向かっていって、またボコボコ。なぜか私も2、3発浴びて…。とばっちりです。迷惑をかけたと思ってくれたので、おかげで信頼関係が築けました(笑い)。

 直球は130キロ台でも体感はもっと速いから、意表を突く内角直球で勝負できた。得意のスクリュー。シュートして沈むのではなく、フォークのように真下に落ちる。ボール1個分。相手打者は直球と思って振ってくるからゴロを打たせることができた。マサさんが何を投げたいかは雰囲気で分かった。以心伝心。あえて違うサインを出し、首を振らせるときもあった。どの球種を投げたいのか、再確認するためだった。

 験担ぎは球界No・1。負けがつくまでカレーを食べたり、ジョージアの缶コーヒーはイニング前に一口だけ飲む。完投すると、ちょうど1本半だった。連勝中は同じソックスで、破けてもはいてましたね。試合前にタオルをかぶって集中する姿はまるでボクサー。こだわりのルーティンは、バッテリー賞とともに懐かしい思い出です。(本紙評論家)

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2022年1月15日のニュース