ソフトバンク・川原 2度の戦力外通告に2度の利き手の手術 通算0勝でも現役12年「逆に凄い」

[ 2021年12月30日 05:30 ]

惜別球人2021~パ・リーグ編

19年3月、お立ち台で喜ぶプロ初ホールドの川原(左)と満塁弾を放った柳田

 2度の戦力外通告に加えて2度の利き手の手術。さらにプロ12年で通算0勝0敗。来季から球団スコアラーになるソフトバンク・川原のプロ人生は、独特だった。

 「この成績で、よくやれたと思いますよ。1勝もできなかったのは逆に凄いです。こういう人生を歩める人って少ないですよね」

 ホークス一筋の現役生活を振り返り笑った。球団本拠地と同じ福岡市出身の「ご当地左腕」。2年目の2軍戦で当時の左腕最速158キロを刻んだ。素材を期待されたが、1軍初登板に3年を要した。15年春には左肩、同秋には左肘を手術。構想から外れて16年から育成契約後、本格派の剛腕はスリークオーターで活路を見いだした。

 2軍でアピールし、左の中継ぎが手薄となった19年春に再び支配下契約され初の開幕1軍。「開幕セレモニーで“川原”と呼ばれたときの声援は今でも思い浮かぶし、忘れません」。同年3月30日西武戦で6年ぶりに1軍復帰登板した。プロ最終登板は21年4月3日の西武戦で、通算47試合、50イニングを投げ0勝0敗0セーブ、5ホールド、防御率2・88。「正直、僕が好投した試合はないんです」と、また笑った。

 中学3年で「第1回ホークスカップ」の優勝投手となった左腕。今後は球団職員として戦力になる。(井上 満夫)

 ◇川原 弘之(かわはら・ひろゆき)1991年(平3)8月23日生まれ、福岡市出身の30歳。片江中3年時に福岡ウイングスでホークスカップ優勝。福岡大大濠では3年夏の福岡大会5回戦で敗退。09年ドラフト2位入団。12年5月20日巨人戦で初登板。1メートル87、99キロ。左投げ左打ち。

続きを表示

この記事のフォト

2021年12月30日のニュース