オリックス・西浦 難病発症…“引退試合”円陣で声出し 競技断念も「野球に携わっていけたら」

[ 2021年12月30日 05:30 ]

惜別球人2021~パ・リーグ編

非凡な打撃センスを見せたオリックス・西浦

 最後の円陣で、オリックス・西浦は苦難の野球人生をかみしめるように言葉を絞り出した。「優勝してください」。9月26日、京セラドームでの楽天戦前に用意された“引退試合”。背番号00の雄姿は、中嶋監督の計らいで実現した。

 「朝9時半くらいにマネジャーから電話があり、中嶋監督が“今から来いよ”と。監督からは“お疲れさま”と。“来いよ”と言ってくださって本当にうれしかった。こんなにたくさんの人に思われていたんだなって」

 熊本出身で明徳義塾から17年ドラフト6位で入団。高い身体能力と非凡な野球センスの持ち主で、同郷のヤクルト・村上とは幼少期から認め合い、互いを高めた。母校の恩師・馬淵史郎監督も「お前の身体能力なら復活すると思っていたけど、残念やなあ…」。将来を嘱望された逸材だった。

 昨年11月、国指定の難病「両側特発性大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)症」を発症。2度の大手術を受け競技復帰を目指した。願いはかなわなかったが、思いは届いた。チームは「西浦の分まで」を合言葉に結束。25年ぶりのリーグ優勝への後押しになった。

 「家の中でも、つえをついているけど、人工関節にしたら痛みはないので。野球に携わっていけたらと思っています」。向かい風は強くても、新たな舞台へ歩みを止めない。(湯澤 涼)

 ◇西浦 颯大(にしうら・はやと)1999年(平11)5月21日生まれ、熊本県出身の22歳。明徳義塾から17年ドラフト6位でオリックス入り。18年10月1日の楽天戦で1軍デビューしプロ初安打、初盗塁をマーク。19年は開幕スタメンを勝ち取り77試合、20年は49試合出場。1メートル78、70キロ。右投げ左打ち。 

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