ヤクルト日本一王手!41歳10カ月・石川が立ヤク者だ　セ投手史上最年長勝利

SMBC日本シリーズ2021第4戦   ヤクルト2－1オリックス （ 2021年11月24日    東京D ）

＜ヤ・オ＞41歳10カ月で勝利投手になった石川（撮影・島崎忠彦）
Photo By スポニチ

　ヤクルトが、01年以来20年ぶりの日本一に王手をかけた。24日、日本シリーズ第4戦でオリックスを2―1で下し、3勝1敗とした。石川雅規投手（41）が6回を3安打1失点（自責0）の好投。41歳10カ月で、セ・リーグの投手ではシリーズ史上最年長の白星を手にした。12年の巨人以来、セ球団9年ぶりの頂点まで、あと1勝。第5戦が行われる25日に53歳の誕生日を迎える高津臣吾監督が、1敗後の4連勝で一気に決める。

　拍手して左拳を力強く握った。石川はベンチで勝利の瞬間を見届け、歓喜の輪に歩を進めた。念願の日本シリーズ初勝利。ベテランはお立ち台で目尻にしわを寄せて笑った。

　「めちゃくちゃうれしいです。監督の気持ちに応えたかった。“絶対、大丈夫”と思ってマウンドに上がった。自分自身に“よかったね”と言ってあげたい」

　大一番で、熟練の投球術が詰まった77球だった。この日の最速は136キロで最遅は97キロ。球速差39キロの緩急で丁寧に低めを突いた。初回1死一塁では吉田正を内角低めのシンカーで空振り三振。高めに浮いたのは、全投球のうち8球だけ。抜群の制球力で青学大後輩の吉田正、杉本の3、4番を計5打席で無安打に封じた。

　「100点です。中村は最高のリードでした」と振り返った6回3安打1失点（自責0）の快投。降板直後に味方が勝ち越してくれた。初出場した15年、自身は2戦2敗。「悔しい思い出しかない」。雪辱を果たし、71年前の第1回日本シリーズ第1戦での若林忠志（毎日）の42歳8カ月に次いで史上2番目の年長、セ・リーグでは最年長となる41歳10カ月での白星だ。「年齢は関係ない。ルーキーの気持ちで投げている」と胸を張った。

　1メートル67の小さな体で20年間で177勝を積み重ねた石川は10月29日、恩師と再会した。神宮で行われた東都大学野球の青学大―日大戦を観戦していた母校・青学大の河原井正雄前監督（67）のもとを訪ね、たわいもない話題に花を咲かせた。

　大学時代はコンビニ弁当が大好き。見かねた河原井氏に体づくりを管理された。完投した試合後は連投に備えてサウナでの温冷交代浴。栄養満点の食事をとった。恩師は「あいつ1人だったかな。そこまで細かくしたのは」と懐かしむ。大卒初の20年連続白星を挙げた左腕の、強じんな体の土台に。同時に、プロ入り後の自己管理の土台にもなった。

　ベテランの好投で3連勝につなげ、20年ぶりの日本一に王手。「明日も一丸となって、この東京ドームで決めたい」と石川は語った。25日は高津監督の53歳の誕生日。指揮官のバースデー日本一は史上初となる。ベテランを筆頭に一丸のナインが実現してみせる。（青森　正宣）

　▽若林忠志　1908年（明41）3月1日生まれ、米ハワイ州オアフ島出身。プロ野球創設の36年に阪神（当時は大阪タイガース）入団。42～44、47～49年は兼任監督。在籍233勝は阪神投手の最多記録。50年に毎日（現ロッテ）移籍後、53年に現役引退。MVP2度、最多勝1度、最優秀防御率2度。通算成績は528試合で237勝144敗、防御率1.99。64年に野球殿堂入りし、65年に57歳で死去。少年院慰問などに熱心だったことから、阪神は2011年に社会貢献活動などに優れた球団の選手に贈る「若林忠志賞」を創設した。

　≪パでは毎日・若林が42歳8カ月で勝利≫41歳10カ月の石川（ヤ）が先発6回で5三振を奪い1失点、自責0に抑えシリーズ初勝利を挙げた。日本シリーズでは10年第4戦の山本昌（中）の45歳2カ月を筆頭に4位の年長登板で、5奪三振は06年第2戦の山本昌（41歳2カ月）の3三振を抜く40代の最多記録。40代で自責0は、13年第3戦の斎藤（楽＝43歳8カ月）が救援で1イニングを抑えて以来シリーズ2人目で、先発では初めてだ。また、40代投手のシリーズ勝利は、50年の第1回日本シリーズ開幕戦で若林（毎日＝42歳8カ月）が完投勝利して以来71年ぶり2人目。セおよび左腕では石川が初となった。なお、これまでのセと左腕の最年長勝利は、02年第3戦の工藤（巨）の39歳5カ月だった。

　≪史上2番目の先発年齢差≫第5戦は41歳10カ月の石川（ヤ）と23歳5カ月の山崎颯（オ）が先発した。両者の年齢差は18歳5カ月。日本シリーズでは、10年第4戦で山本昌（中＝45歳2カ月）と唐川（ロ＝21歳3カ月）が投げ合った23歳11カ月差に次ぐ2番目の年齢差先発対決になった。