社会人野球エイジェック主将は営業マン 西丸泰史が“国学院大仕込みの統率力”で初の都市対抗導く

[ 2021年11月15日 12:21 ]

平日の午前中は営業、午後は野球部で主将を務める西丸(撮影・柳内 遼平)
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 西丸泰史25歳。栃木県小山市を拠点にする社会人野球チーム・エイジェックで主に「6番・指名打者」を務める左の強打者だ。主将を務める西丸は、人なつっこい笑顔で地元の企業にチーム支援を売り込む営業マンとしての一面を持つ。平日は建設会社やカーディーラー、飲食店など顧客回りに靴底をすり減らす日々を送る。

 「人と話すことが好きなので営業は一番向いている職業だと思います。実際にやってみると、栃木は野球が好きな人が多いと実感しました」

 午前中の業務を終えると、スーツからユニホームに変身。グラウンドでは主将としての威厳を持った顔つきに変わる。尽誠学園、国学院大と野球エリート道を歩み、名門社会人野球チームに進む選択肢もあったが、18年に発足したばかりのエイジェックを選んだ。「自分が初めて都市対抗に導けたら面白い。歴史をつくるワクワク感がありました」。入社した20年の6月から主将を務める男は今年、チームを初の都市対抗本選出場に導いた。

 国学院大で過ごした4年間が営業マンと主将の二刀流を可能にした。現在も指揮を執る鳥山泰孝監督(46)からは「人としてどうあるべきか」を叩き込まれた。「野球のことよりも人間的なことを一番教えてくださった。営業とチームづくりに生きている。一番尊敬している人です」と西丸は感謝を口にする。

 営業経験はリーダーとしての素質を高めた。「営業は初対面の人と話すので、人を見ることに長けてきました。同じチームメートでもオブラートに包んで言った方が良い人、正面から言うべき人、全く言わない方が良い人がいる」。若い選手が多く、ムードの浮き沈みが激しいチームを臨機応変な声かけでまとめ上げた。

 都市対抗はエイジェックにとって初の大舞台。東京ドームでのプレーは西丸にとっても初めてだ。「会社創立が20周年で節目の年。左中間の所にはエイジェックの広告看板が入っています。一流の企業さんと対戦を楽しみながら全力を尽くしたいと思います」。インタビューの最後は営業マンらしく、自社のアピールと他社への配慮で締めた。(柳内 遼平)

 ◇西丸 泰史(にしまる・たいし)1996年(平8)10月18日生まれ、香川県三木町出身の25歳。小1から野球を始め、三木中では軟式野球部に所属。尽誠学園では1年夏からベンチ入りし、主に「3番・遊撃手」で出場。国学院大では2年秋からリーグ戦に出場し3年春にベストナインを獲得。20年4月にエイジェック入社し、同年6月から主将に就任。50メートル走6秒0。遠投110メートル。右投げ左打ち。1メートル79、80キロ。右投げ左打ち。

 ◇鳥山 泰孝(とりやま・やすたか)1975年(昭50)8月29日生まれ、栃木県出身の46歳。宇都宮学園から国学院大。卒業後に国学院大コーチ、修徳高校監督を経て、10年秋から国学院大監督に就任。

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