オリックス・山崎颯 念願の初勝利 「由伸に離されるわけには」 右肘手術、育成経てつかんだ1勝

[ 2021年9月30日 05:30 ]

パ・リーグ   オリックス15-2ロッテ ( 2021年9月29日    ZOZOマリン )

<ロ・オ21> プロ初勝利を挙げ、ウイニングボールを手に笑顔のオリックス・山崎颯 (撮影・光山 貴大)
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 中嶋監督にグータッチで称えられたオリックス・山崎颯が、とびっきりの笑顔を浮かべた。プロ5年目、6度目の正直でつかんだプロ初白星。最後を占めたK―鈴木から手渡されたウイニングボールを、おしりのポケットにグッとねじ込んだ。

 「とにかく、うれしいです。みんなに付けてもらった1勝。記念球は両親に贈りたい」

 5回2/3を2失点。2回に先制2ランを浴びたが、真っ向勝負を貫いた。1メートル90の長身から投げ下ろす角度、球威ともに抜群の直球を軸に、3、4、5回は安打を許さず逆転劇を呼び込んだ。6回には敦賀気比の先輩・吉田正から援護弾。「試合前に“祝砲を上げたい”って言っていて、本当に本塁打を打つのが凄いっす。その瞬間は裏で見てなかったんですけどね」と笑った。

 2年目の18年オフ、絞り出した言葉がある。「由伸に離されるわけにはいかない」。同期の山本が1年目からプロ初勝利を挙げるなど上昇曲線を描く一方で、“北陸のダルビッシュ”と騒がれた逸材は19年に右肘内側側副じん帯再建術。もどかしさは募った。高校時代は行わなかったウエートトレを導入し肉体強化を徹底。落差の大きいカーブ、スライダーの精度向上など技術も磨いた。「いろいろあったけど遠回りではなかった」。5年分の思いが、ぎゅっと詰まった103球だった。

 前夜同様に敗れれば自力優勝の可能性が消滅し、ロッテに優勝マジックが点灯する大一番で、1分けを挟む3連勝に導き1ゲーム差。19年は2軍監督としてリハビリを見守ってきた中嶋監督からは「おめでとう、ここからが大事だぞ」と祝福されたが、続けて助言も受けた。「カーブ何球入った?って聞かれて2球ですかねって答えたら“1球や!”って。カーブを使えれば長いイニングを投げられる。ここがスタートライン」。山崎颯が真剣勝負の舞台に立った。(湯澤 涼)

 【山崎颯一郎はこんな人】
 ▽生まれとサイズ 1998年(平10)6月15日生まれ、石川県出身の23歳。1メートル90、90キロ。右投げ右打ち。
 ▽球歴 小3時に山代少年野球クラブで競技を始める。山代中では加賀ボーイズでプレーし、13年世界少年野球大会に寺島(ヤ)らと出場して優勝。敦賀気比では1年春からベンチ入りし、2年春夏、3年春に甲子園出場。16年ドラフト6位でオリックス入り。18年10月のU―23W杯に出場し、2試合で10回2/3を無失点に抑え最優秀防御率を獲得。
 ▽一度は育成契約も 19年8月に右肘のじん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受けてオフに育成契約となり、20年12月に支配下選手に復帰。

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