引退の阪神・俊介が喜んだ“愛のビンタ”「無視されるのが一番ツライ」 歴史的偉業途絶えさせた失敗

[ 2021年9月16日 05:45 ]

元阪神担当記者が振り返る俊介の素顔

11年4月、中日戦で俊介は二塁盗塁を試みるもタッチアウトとなり、金本の連続試合出場がストップ
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 ごめん、俊介クン。12年間気さくに取材をさせてもらったのに、一番印象に残っているのが、この話なのは本当に申し訳ない…。金本知憲さんの連続試合出場を1766でストップさせてしまった“大失態”についてだ。

 11年4月15日の中日戦(ナゴヤドーム)。8回2死から出塁して、次打者の代打金本さんの時に二盗失敗。チェンジとなり、金本さんは打席が完了しないまま守備に就かず交代となったため記録が途切れてしまった。1998年7月から13年間も続けてきた大記録が、まさかの結末で…。

 常識では、2死からの代打の時は走塁死は許されないという。金本さんは「記録のために出続けるのはチームに迷惑をかける。途切れてよかった」とかばってくれたものの、当時プロ2年生は、大変なことをしでかしてしまった――と、顔面蒼白(そうはく)だった。

 後日、多くのチームメートが集まり、偉業を称える会が開かれた。最初は俊介クンは呼ばれていなかったが、城島健司さんの計らいで途中参加。その城島さんの「カネさん、アントニオ猪木ばりにビンタいっといたら?」に、ペシッ!その場は大盛り上がりだったとか。

 「無視されるのが一番ツライです。これで許されるとは思っていませんが、会に呼んでいただきうれしかった。野球を勉強します」

 話しているときも思い出して泣き出しそうなのに、でも、ちょっとホッとしてビンタされた感想をうれしそうにしゃべる君の表情が今も忘れられないよ。 (専門委員・畑野 理之)

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