巨人・坂本 野球偏差値の高さは打撃&守備だけじゃない 二塁で見せた駆け引きとは…

[ 2021年9月7日 12:45 ]

4日の阪神戦、 初回1死左中間二塁打を放った坂本
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 打撃力、守備力と並び、技術の高さは「走塁」にも現れる。巨人・坂本勇人内野手(32)が走者として見せたプレーに、野球偏差値の高さを感じた。

 首位攻防となった5日の阪神戦の3回だった。2番手で登板した藤浪から四球を選び、次打者の吉川も四球で一、二塁となった。ここからだ。坂本が二塁ベースから、藤浪に駆け引きを仕掛けた。

 藤浪がセットポジションで打者と向かい合う。坂本がリードを取る。藤浪の静止する時間が長いと見るや、わざと、三塁を狙うかのように大きく飛び出した。藤浪は二塁方向を振り向き、投げる仕草だけ見せた。阪神の二塁手と遊撃手は守備位置から二塁ベースに戻ることはしなかった。

 藤浪を打者との対戦だけに集中させないよう、三塁を狙う素振りでプレッシャーをかけて揺さぶった。坂本には「けん制はしてこない」という確信があったように見えた。あわよくば三塁を狙える。この回、巨人は得点を奪うことができなかったが、坂本は計2度もこの「揺さぶり」を藤浪に仕掛けた。

 走るだけが走者の仕事ではない。二塁を大きく飛び出すことで、藤浪の打者への集中を途切れさせた。投手は打者だけでなく走者とも戦っている。その心理を巧みに突いた坂本の技術といえる。(記者コラム・神田 佑)

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2021年9月7日のニュース