先輩エース上沢のように…日本ハム4年目右腕・田中、苦境乗り越え完全復活目指す

[ 2021年7月1日 09:00 ]

日本ハムの4年目右腕・田中瑛斗
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 日本ハムの4年目右腕・田中瑛斗投手(21)が、悲願のプロ初勝利を目指して2軍で奮闘中だ。柳ケ浦から清宮幸太郎内野手(21)と同じ17年のドラフト3位で入団したが、1、2軍計37試合(1軍1試合)に登板していまだ未勝利。昨年7月に右肘関節鏡視下手術を受けた右腕は、完全復活を目指してリハビリ過程をこなしている。

 1年目は1軍登板なく、2軍で10試合(22回)に登板も0勝0敗、防御率1・64。2年目は1軍デビューを果たすも救援登板で2回2失点で敗戦投手。2軍で18試合(86回2/3)で0勝11敗、防御率5・85。11連敗はイースタン・リーグのワースト記録だった。右肘手術を受けた20年は登板なしで、今季はここまで9試合に登板も0勝3敗、防御率6・20と白星から見放されている。今、チームで最も勝利に飢えている男の一人だろう。

 本人だけでなく、田中を勝たせようと今では野手陣も田中の勝利をアシストしようと躍起になっているという。「毎回、野手のみんなが始まる前から言ってくれる。僕よりみんなの方が気合が入っている」と田中。「幸太郎は特に同期ですし、1年目から見ているので。あいつに“1試合でホームランを5本くらい打ってくれれば”っていつも言うんですけど」と笑う。

 初勝利がちらついた試合もあった。6月3日のイースタン・リーグ、巨人戦(鎌ケ谷)だ。2―1で5回を迎え、ポンポンと2死を取り、あと1人を抑えれば勝利投手の権利を得られるところまできた。しかし、そこからまさかの3連続四球を与え、4回2/31失点、88球で無念の降板となった。2個目の四球を与えたところで球数は予定の80球を越えていたが、加藤2軍投手コーチがマウンドを訪れ、「しっかりしろよ!代えるぞ!」と激励しただけでベンチに帰っていった。その期待に応えたかったが、さらに1四球を与え、肘のスタミナ不足を露呈した。「球速もガクッと落ちて、腕も振れなくなった。(勝ち投手の権利は)意識はしないようにしていましたけど、最後は意識しましたね。期待に応えられずに悔しい」と唇を噛みしめた。

 今季は右肘手術明けで球数制限がある中での登板。肘に負担がかかるフォークはまだ解禁していない。「復帰登板の時は1回投げただけで体がバキバキだった。ちょっとずつ投げる力はついてきました」。同じく高卒でエースにまで成長した上沢と同様に将来性が期待される大型右腕。右肘手術、左膝骨折と幾度の故障を乗り越えて大きくなった上沢のように、この苦しい状況を乗り越えてチームの中心を担う大投手となってくれることを願っている。(記者コラム・東尾 洋樹)

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2021年7月1日のニュース