パドレス・ダルビッシュ MLBに不信感 粘着物質不正使用 22日から取り締まり強化

[ 2021年6月17日 02:30 ]

パドレスのダルビッシュ(AP)
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 大リーグ機構(MLB)が15日(日本時間16日)、投手による粘着物質不正使用の取り締まりを強化し、21日(同22日)から罰則の適用を厳格化すると発表した。一部投手が投球の回転数を上げるために不正使用している疑惑を受けての対応。一方で異例ともいえるシーズン中の「ルール改定」にパドレスのダルビッシュ有投手(34)ら多くの投手が不信感を募らせた。

 全体の打率が2割3分台と「投高打低」が顕著な今季の大リーグ。MLBのロブ・マンフレッド・コミッショナーは「データなどに基づき、グラウンドでの公平を期すため、異物に対するルールの適用が必要だと判断した」と今回の措置を説明した。

 メジャーでは滑り止めのロジン以外の使用は違反とされているが、松やになどの使用は、これまで「暗黙の了解」とされてきた。一方、投球の回転数増や、鋭い変化球を投げる目的で複数の投手が粘着力の高い物質を使用しているという疑惑が浮上。MLBは今季回収した公式球の多くに粘着物質使用の痕跡があったとし、取り締まりと罰則強化が決まった。

 この問題が表面化して以降、滑りやすい公式球の変更などを訴えてきたパドレスのダルビッシュは、改めて不信感を口にした。「MLBは前から(公然の秘密を)知っていたのだから、シーズン中にいきなり“それは使えない”というのではなくて、ボールを変えることが先だろうと思う」。自身は15年の「スタットキャスト」導入後、直球のスピンレート(1分間に換算した回転数)は2500台、スライダー、カットボールは2700台で大きな変化はなし。「潔白」であるにもかかわらず「ここにきて打者が打てないとなり“なんでお前たち(粘着物質を)使っているんだ”となっているのが今の状況。(MLBは)急に立場を変えたと感じる」と訴えた。

 思わぬ「犠牲者」も生まれた。レイズのエース右腕グラスノーは8日のナショナルズ戦で「粘着物質」を使用せずに登板。この日になって「右肘じん帯の部分断裂」が判明し負傷者リスト(IL)入りした。「ケガの原因は100%、取り締まり強化のせい。規制するならシーズンオフにやるべき」と辛らつだった。

 違反者は退場に加え、10試合の出場停止処分が科され、繰り返せばより重い処分になる可能性がある。違反がなくても登板中に審判から複数回、チェックを受けることになる。ツインズの前田、マリナーズの菊池、エンゼルスの大谷ら日本投手も突然の規制強化で受ける影響は少なくない。

 ≪18年ごろから普及?スパイダータック≫大リーグで18年ごろから広まったと言われている高粘着物質が「スパイダータック」と呼ばれる滑り止めで一般的にはパワーリフティングの選手が使用する。指先に塗ることでしっかりグリップできるために回転数が増し、直球の球速や変化球の変化量がアップする。あるOB投手は「現役の70~80%が使用している」と証言している。

 ▼ツインズ・前田 影響が出てくるピッチャーがいるかもしれないが、僕自身は回転数とか人よりずばぬけているわけではない。困ることはない。球を変えるのが一番だと思う。

 ▼マリナーズ・菊池 今までは曖昧なところがあった。しっかり線引きすることは大事かなと思った。すぐには難しいかもしれないが、将来的には(公式球の)質(の改善)も考えてほしい。

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