「マー君撃ち」の陰にオリ・山岡の心遣いがあった チームの心を一つにした「90個のクレープ」

[ 2021年5月19日 06:00 ]

オリックスの山岡
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 段ボール箱にぎっしりと詰まった90個のクレープが、「マー君撃ち」を後押ししたかもしれない。オリックスが楽天・田中将を撃破した5月15日の楽天戦(ほっともっと神戸)。吉田正が日本のエースから逆転8号V3ランを放ち、神戸のファンを沸かせた一戦だ。もちろん主役は吉田正。だが、陰の立役者が山岡泰輔投手(25)だった。実は、試合前に大量のクレープを自腹購入し、ロッカールームに差し入れていた。

 試合前練習の時のこと。「いるかなあ?」と思い、2階記者席を出て一塁側入場口付近のクレープ店に向かうと、やっぱりいた。背番号19が「90個、お願いします」と注文していた。昨年スポニチ紙面でも書いたが、ほっともっと神戸での主催試合では、練習後に一塁側スタンド席から引き揚げ、その道すがら、クレープを自腹購入する。チームメートやスタッフ、「BsGirls」に振る舞うためだ。18年シーズン中のことだったと思う。理由を尋ねた時の山岡の言葉は印象深い。

 「とにかくオリックスで勝ちたいんですよ、僕。オリックスでCSに出たいし、オリックスで優勝したいんです。チームが1つになれるようにっていうか、できることは何でもしたいんですよね」

 “甘い”マスクからは想像できないほど、内面は熱い。山本や田嶋、宮城と若手揃いの先発陣をまとめ、引っ張ることが役目。チームで唯一、開幕直後から2週連続で中5日登板を託され、「チームのためにやるだけですから」と懸命に腕を振ってきた。ここまで8試合で2勝3敗、防御率3・53。まだ本調子とは言えないが、前回14日の楽天戦は8回3失点で2勝目を挙げるなど兆しはある。「悪い時でも、しっかりと試合をつくってチームを勝たせることが大事だし、そういう投手になりたい」。チームは5月18日現在で4位につけ、首位・楽天と3ゲーム差。オリックスが「混パ」の主役になるには、万全の背番号19の存在が必要だ。(記者コラム・湯澤 涼)

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2021年5月19日のニュース