イチ“プロ30年目”新たなマスクと新たなグラブと新たな家族とともにスタート…マリナーズキャンプ合流

[ 2021年2月25日 05:30 ]

マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクターとしてプロ30年目のキャンプを迎えたイチロー氏(撮影・笹田幸嗣通信員)
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 マリナーズで会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏(47)が23日(日本時間24日)、キャンプ地で約11カ月ぶりにチームに合流した。打撃投手を務め、若手とのキャッチボールや、外野へのノックなど精力的に動いた。特注マスク姿で、内野、外野、投手用と3種類の新グラブを持参。愛犬・一弓(いっきゅう)の死と、2匹の新たな「家族」を迎えたことを明かし、古巣再建を後押しすべく新様式で21年シーズンに臨む。

 引き締まった体も、飛ぶように跳ねる動きも、イチロー氏そのものだった。ただし顔には、友人デザインの特製黒マスク。26度の炎天下に「キャップとマスクはオーダーでないと合わないんですよ。息が上がりますね」と苦笑いも浮かべた。黒からグレーに一新した内野、外野、投手用の3種類のグラブを持ち込み、外野ノックではノックバットではなく現役時代の黒バットでゴロと飛球を打ち分けた。イチロー氏がグラウンドへ帰ってきた。

 昨季はコロナ禍で直接指導ができず、大半を日本で過ごした。2日に渡米し、シアトルでの2週間の自主隔離を経て、18日にキャンプ地入り。新たなシーズンを前に、新たな家族を紹介した。

 ともに1歳の柴犬で、雌の「姫弓(ききゅう)」と雄の「天朗(てんろ)」。「直接の姉弟ではないですが、姫弓が2カ月上です。一弓のおじいちゃんの血統なんですよね」。その祖父の名が「長天坊(ちょうてんぼう)」。「天」と「一朗」から1字取り天朗と名付け、姫弓は弓子夫人の「弓」と母犬の「玉姫」の名を合わせた。

 「一弓とのつながりは本当に大きいですよね。思いが全然違う」

 現役時代を支えてくれた一弓は、19年3月の引退から5カ月後に天国へ旅立った。「僕の引退をしっかり見届けて、その後に…」と静かに思いをはせた。

 「犬のためです」と自身初体験となった国際線のプライベートジェットで愛犬と一緒に渡米。昨年中にシアトルの自宅に戻るはずが新型コロナの影響で遅れたが、「弓子もずっと一人でシアトルだったし、寒いし。一気ににぎわっちゃって。まあ、にぎやかです」と目尻を下げた。

 プロ30年目のキャンプイン。今季はシーズン中も、シアトルでの公式戦は足を運び続ける予定だ。登板したフリー打撃では制球された回転のいい速球を投げ込んだ。「僕は変わりませんよ。トレーニングずっとやっていましたから」。険しさは抜け、穏やかな表情で再スタートした。(笹田 幸嗣通信員)

 ▽イチロー氏と一弓 イチロー夫妻の名前(一朗、弓子)から1字ずつ取った柴犬。メジャー1年目の01年に生まれ、02年にシアトルの鈴木家へ。19年3月の引退会見では「現在17歳と7カ月。さすがに毎日ふらふらしてるけど、懸命に生きている。その姿を見たら、俺、頑張らなきゃなって」とその存在に触れ「まさか現役を終える時まで一緒に過ごせるとは。本当に妻と一弓には感謝の思いしかない」と語った。

 ≪岩隈コーチも雄星らを精力的に指導≫岩隈久志特命コーチも元気な姿を見せ、キャッチボールや守備練習で調整した3年目の菊池を見守った。「いいボールを持っている。自信をつければ大丈夫」と太鼓判。「球が速くても打者は3巡目には慣れてくる」と指摘し、配球面の助言も考えているという。菊池は25日(日本時間26日)にフリー打撃登板を予定している。

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