阪神・球児 感謝の30球 センバツ中止で甲子園踏めなかった高校生の分も「1球1球大事に」

[ 2020年5月6日 05:30 ]

甲子園で自主練習する藤川(阪神タイガース提供)                                                                    
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 阪神の藤川球児投手(39)が5日、甲子園球場施設で行われた自主練習に参加し、甲子園のマウンドで投球練習を行った。チームが活動休止して以降初めて発したコメントに、春の選抜に出場するはずだった高校球児への配慮と、自身の現状への感謝を込めた。球団公式YouTubeでは、子どもたちにメッセージを送った。

 その価値を誰よりも知るからこそ、一球一球、感謝を込めて投げ込んだ。藤川が、自主練習開始後チームで初めて甲子園のマウンドでの投球練習を敢行。球団広報を通じて発したコメントに、その場に立つはずだった高校球児へのメッセージを詰め込んだ。

 「選抜が中止になって、この甲子園の土を踏むことができなかった子たちもいるし、そういう意味でも真剣に集中して1球1球大事に投げることができた。甲子園球場を使わせてもらっていることに感謝して練習させてもらっています」

 坂本を相手に変化球を交えて30球。本番さながらの熱気をまとって腕を振った。新型コロナウイルスの影響で春の選抜が中止となり、夏の甲子園の開催も不透明という状況下。本拠地とはいえ、その土を踏める時間を「当然」と捉えるワケにはいかなかった。

 高知商2年夏に初めてマウンドに立ち、プロではレギュラーシーズンだけでNPB史上最多346試合に登板してきた。チームが活動休止して以降誰も足を踏み入れなかった場所で最初に思いを表現したのは、必然的な行動と言っていい。

 「シーズンが始まった時に素晴らしいものを見せられるように自分でできることをしっかりやって。皆さんの元気が出るようなプレーができるよう、努力してる最中です」

 3月24日以来の肉声では虎党へのメッセージも忘れなかった。開幕が未定のまま迎える黄金週間は22年目の大ベテランでも初体験。難しい調整を強いられる中でも嘆くことなく、ベストパフォーマンスを見せるために最善を尽くし続ける。

 球団公式YouTubeチャンネルで配信された、こどもの日の企画動画にも出演した。質問に選手が答えていく企画でトリを務め、子どもたちへ呼びかけた。「外出自粛で大変ですけど、その中でも楽しみを一つ、二つ見つけて。その中で、こういう動画であったり、野球の力というのを皆で育んでいけたらいいと思うので、子どもたちも一緒に頑張っていきましょう!」。野球欲に飢えた子どもに突き刺さる、力強い言葉だった。(巻木 周平)

 《こども記者の取材》藤川は、YouTube動画で、メッセージの他に子どもからの質問にも答えていた。10歳の女の子の「どうすればスピードがあがりますか?」という質問に、「年齢とともに関節がしっかりしてきてその時にスピードは上がってくるので、今はトレーニングよりも、ボールを強く投げるために遠くへ投げる練習とかを繰り返していけば、自然とボールは速くなっていくと思います」と、具体的に回答していた。

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2020年5月6日のニュース