個人情報も一つの焦点 出口戦略へ、withコロナの大規模イベントのあり方とは

[ 2020年5月6日 14:30 ]

無観客試合で行われたプロ野球のオープン戦
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 韓国プロ野球が5日に開幕し、台湾プロ野球は8日から観客を入れて試合を開催することを決めた。国や地域の感染状況が異なるため、日本との単純比較は難しい。ただ、今後開幕へ向けて協議を進める上で、参考材料にできる点は非常に多い。

 台湾プロ野球は4月12日、世界に先駆けて開幕していた。開幕から約1カ月を経て、まずは1試合最大1000人の動員から始める。客席は大幅に間引かれ、間隔を大きく空ける。観戦者には検温、マスクの着用と、氏名の申告を義務づけた。

 氏名の申告は、来場者が観戦後に陽性反応などを示した際の措置。プロ野球とJリーグが合同設置した「新型コロナウイルス対策連絡会議」の専門家チームが3月12日にまとめた提言にも、観客から感染者が出た場合の対応がまとめられている。

 まず、感染者座席の周辺に座った入場者を特定するための手段の確保。どの席に座ったのか自分で確認できるようにするため、半券の保管。自由席・立ち見席はゾーンを細分化し、観客に自席をスマートフォンなどのカメラで記録する、などを呼び掛ける。また各球団・クラブは感染者の座席を迅速に公表し、周辺観客の特定を急ぎ、注意喚起する。

 感染拡大期にあった3月22日に行われた格闘技イベント「K―1 WORLD GP」(さいたまスーパーアリーナ)でも、個人情報の提出が求められた。西村康稔経済再生担当相や埼玉県が自粛を求めた中、主催者側は感染防止に万全な対策を取ったとして開催し、6500人が集まった。大会後、来場者に感染者が出た場合は追跡調査が行えるよう、入場者はチケットの半券に住所、氏名、電話番号の記入を求められた。

 プロ野球は開幕後、当面は無観客で開催する方針を固めている。感染状況を見ながらの判断だが、安全に配慮した上で徐々に観客を増やしていくことを目指していく。その出口戦略の中で、個人情報の取り扱いも一つの議論になるだろう。提出を求めるならば、後ろめたさは全くなくても、抵抗感を覚えることも想像できる。

 「新型コロナウイルスとの共生」といった指摘も世に出始めている。withコロナの大規模イベントのあり方が、従来のスタイルと大きな変更を迫られるのは避けられない。(記者コラム・後藤 茂樹)

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2020年5月6日のニュース