斉藤和巳が崩れ落ちた…ソフトB 3年連続PO敗退 「呪い」一身に背負った悲運の4冠エース

[ 2020年4月20日 08:30 ]

斉藤和巳がマウンド上でうずくまる
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 【Lega-scene あの名場面が、よみがえる。~名勝負編~】昭和、平成の名場面を本紙所蔵の秘蔵写真からお届けする「Lega―scene(レガシーン)」。プロ野球の名勝負編の最終回は2006年10月12日の日本ハム―ソフトバンク戦(札幌ドーム)。ソフトバンクの大エース・斉藤和巳投手(当時28)の力投が報われず、プレーオフで敗れた試合です。

あの斉藤和巳が崩れ落ちた。
0―0の9回2死一、二塁。
左脇を抜ける打球を捕ろうと
右膝をつくと、もう立ち上がれなかった。
3年連続のプレーオフ敗退。
日本ハムの歓喜も聞こえない。
頭の中は真っ白だった。

プレーオフ第2ステージ(S)は
異様な熱気に包まれた。
王貞治監督が7月に
胃がんの摘出手術で離脱。
病床の指揮官のため
日本シリーズ進出が
エースの使命だった。
この年、斉藤の投球は鬼気迫っていた。

リーグ最多18勝をはじめ
主要部門4冠。
プレーオフ第1Sの西武戦も
8回1失点と好投し
中4日で第2S・日本ハム戦に挑んだ。
127球を投げ抜いた結末は
残酷だった。

ソフトバンクのベンチは
斉藤がマウンドに
取り残されたことに気付かない。
誰もが自分を見失っていた。
かろうじて平常心を残していた
ズレータとカブレラが歩み寄った。
身長1メートル92の斉藤から
打者を圧倒する気迫は消えていた。
巨漢の両外国人に両脇を抱えられ
ただ、子供のように泣いた。 (敬称略)

 ≪病床の王監督に吉報届けられず≫この試合に勝った日本ハムは、25年ぶりのリーグ優勝が決定。斉藤は当時の東京最終版2面で、3年連続プレーオフで敗退した「プレーオフの呪い」の象徴として報じられた。静まり返った試合後のロッカールームには斉藤の嗚咽(おえつ)の声が響き、「(来年へ)今すぐ切り替えるのは難しいですね」とショックを隠さず。4番の松中信彦、王監督に代わり指揮を執っていた森脇浩司監督代行は「責任を感じる」と口をそろえた。

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2020年4月20日のニュース