元日本ハム・大引啓次氏が切り開く道

[ 2020年2月27日 09:00 ]

試合前に大谷(左)と握手を交わす大引啓次氏(撮影・柳原 直之)
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 米アリゾナ州テンピ。2月25日のエンゼルス―レッズ戦前に大谷が自ら駆け寄り、あいさつに向かった人物がいた。その人物とは前ヤクルトで元日本ハムの大引啓次氏(35)。優しい目尻はそのままで、かつての後輩と固い握手を交わしていた。

 昨季限りで13年間の現役生活を終えた大引氏は現在、13、14年に所属した日本ハムの業務提携先のレンジャーズに特別研修コーチとして派遣されている。「ファイターズにお願いして実現しました。“レンジャーズさんとまだ業務提携されているんですか?”と聞いたところがスタートでした」という。2月16日に渡米し、翌17日からレンジャーズのキャンプに参加。開幕直後の4月上旬に一時帰国するが、5月に再渡米し、約1カ月半×3セットで日本と米国を行き来する予定だ。米国では3A、2A、ルーキーリーグなどマイナーを中心に回る予定で「どういうシステムで、どういう育成をしているのか学んでいきたい」と語る。

 日本ハムはこれまでも多くの人材をメジャー球団に派遣してきた。02年には東大出身の遠藤良平氏(現GM補佐)がダイヤモンドバックスに研修留学し、金子誠氏(現野手総合コーチ)は15年に、中嶋聡氏(現オリックス2軍監督)は16年にパドレスにコーチ留学。昨年は矢野謙次氏(現1軍打撃コーチ)が大引氏と同じレンジャーズにコーチ留学した。

 ただ、大引氏はこれまでの前例と違う道を歩もうとしている。「来年4月には日本の大学院に通いたいと思っています。まだ、詳細は決まっていませんが、スポーツ心理学やスポーツマーケティングなど、その学ぶ題材を選んでいる段階です」。家族の理解を得て、1~2年は勉強に専念することを決断。「その後はプロではなくアマチュアのカテゴリーで指導者の道に進みたいと思っています」と夢を語った。

 大引氏は続けた。「僕も今年で36歳になります。現役を引退し、人生の分岐点と思っています。勉強に費やす機会をつくってくださったファイターズには感謝しています」。浪速高(大阪)を経て、法大時代に「法政史上最高の主将」と呼ばれたほど誰もが認める人格者。「自分はプロではなくアマチュアの方が合っていると思います」と語る。

 球界全体の未来を見据えた日本ハムの懐の深さ。そして、大引氏の自ら道を切り開く、どん欲な姿勢には頭が下がる思いだ。“大引監督”が甲子園や神宮で見られる日が、必ずやってくる。そう願っている。(記者コラム・柳原 直之)

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