阪神育成2位・奥山 ケガに悩まされ…野手転向でつかんだプロ入り

[ 2019年12月19日 08:30 ]

虎ルーキーの素顔に迫る 最高峰の舞台にトライ 育成ドラフト2位・奥山皓太外野手(2)

野手に転向した大学3年時の奥山
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 地元・山梨を離れ、静岡大に進学した投手・奥山皓太はいきなりアクシデントに見舞われた。「痛みで腕が伸びなくなったのはショックでした。でもケアさえしていけば治ると思っていたけど、甘くはなかったです」

 1年夏の練習。打撃投手を務めていると、肘に今まで感じたことがなかった鈍い痛みが走った。「これはやばい…。」。嫌な予感は的中した。医師から告げられたのは肘の手術だった。

 「大学では投手でいい成績を残していたい」と思っていたからこそ、いきなり突きつけられた非情な現実を受け止めることができなかった。1年近く、投手での復帰を模索しながらリハビリ治療を行った。「ケアをしていけば、どうにかなるんじゃないか」。そう信じていたが、痛みが解消されることはなかった。母・真由美さん(52)も苦悩する姿を見て黙っていられなかった。「人生、野球がすべてじゃないし、普通の大学ライフでも全然いいと思うよ」。優しい言葉で励ましたが、皓太は「野球を取ったら何が残るんだろう」と葛藤し続けた。

 野球が好きな気持ちは揺るがなかった。「野手としての選択も悪くない」。2年秋に外野で勝負することを決めた。高校1年時に経験して以来のポジションだ。

 一からの再挑戦は、木製バットの対応や守備面の連携などに苦労した。練習試合でも思うような結果は出ない。そんな悩める姿に3年夏には同大の高山慎弘監督から「結果を求めてやるのではなくて、まずは1試合1本打つことを心がけろ」と助言を受けた。この言葉が、くすぶっていた打撃を開眼させた。

 直後からオープン戦でマルチ安打をマークするようになった。「何かを変えたよりはメンタルの面が大きかった」。3年秋にレギュラーに定着すると4年秋まで3季連続で打率3割を記録した。

 「静岡大に来てよかったと思っています」

 スポーツ推薦ではなく、センター試験を経ての静岡大進学。関東の強豪校からの誘いを断って進んだ道は間違っていなかったと胸を張る。けがにも負けなかった。ここからは、国立大出身初の猛虎戦士として、1日も早い支配下登録を目指していく。(長谷川 凡記)=終わり

 ◆奥山 皓太(おくやま・こうた)1997年(平9)9月3日生まれ。山梨県出身の22歳。池田小3年で野球を始め、甲府西中では軟式野球部所属。甲府西では投手を務めた。甲子園経験はなし。静岡大進学後、3年時に外野手転向。4年秋にベストナイン。1メートル86、93キロ。右投げ右打ち。

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2019年12月19日のニュース