ソフトバンク・周東佑京 安打より盗塁の方が多いスピードスター

[ 2019年12月11日 09:00 ]

俊足を武器に知名度を上げ、侍ジャパンでも活躍したソフトバンクの周東
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 【宮入徹の記録の風景】俊足を武器に知名度を上げた。ソフトバンクの周東は入団2年目の今季、4月7日のロッテ戦で守備固めながら1軍公式戦デビューを果たした。同月9日の日本ハム戦では8回デスパイネの代走で二塁盗塁に成功。以後、5月6日のオリックス戦まで9連続盗塁成功といきなり圧巻の走りを見せた。

 終わってみれば、今季の周東は30度盗塁を試み、盗塁25、盗塁死5で成功率は・833に達した。2リーグ制後、1軍公式戦デビュー年に20盗塁以上した選手の盗塁成功率を出すと(1)95年松井稼頭央(西武=・955)(2)10年荻野貴司(ロッテ=・893)(3)11年伊志嶺翔大(ロッテ=・842)。(4)50年斎藤宏(東急=・833)、(4)07年渡辺直人(楽天=・833)、(4)19年周東佑京(ソフトバンク=・833)。周東は4位タイになる(外国人を除く)。

 周東の盗塁明細を見ると、いろいろと傾向が読み取れ面白い。まず、投球数別では、投球前、初球、2球目までに試みたのは9度あって、成功6、失敗3で成功率は・750。それが3球目以降だと17度試み失敗はわずか1度だけ。成功率は・941まで跳ね上がる。足の速さとは対照的に、じっくりスキをうかがうことで成功率を高めている。

 左右投手別では右投手の成功率が・840なのに対し、左投手では・800。投手の利き腕が成功率に影響を及ぼすことはそれほどなかった。昼夜別ではデーゲーム、薄暮ゲームを合わせると18度試みオールセーフ。ところがナイターだと成功7の失敗5で・583まで落ちてしまう。夜間照明の下ではスタートが切りづらいのだろうか。さらに、球場別ではビジターでは・917と高いが、ホームゲームは・778までダウン。本拠地ファンの声援がプレッシャーになったのかもしれない。

 非凡な盗塁技術は今季実証されたが、打撃に関してはまだまだ改善の余地がありそう。今季の打撃成績は規定未満の102打数20安打(打率・196)。三振は27あり三振率(三振÷打席数)は・237。今季パの規定打席到達選手の三振率だとワースト4位に相当する。足を生かすためにも三振数は極力減らしたい。四球も今季114打席でわずか2。選球眼を鍛え、出塁率を向上させることも、盗塁数増加に不可欠だ。

 今季の周東のように過去にシーズン20盗塁以上をマークし、安打数が盗塁数を下回ったのは48年山本尚敏(中日=26盗塁、7安打)、74年平林二郎(阪急=26盗塁、12安打)、75年井上修(阪急=23盗塁、9安打)、78年藤瀬史朗(近鉄=20盗塁、0安打)、79年藤瀬史朗(近鉄=27盗塁、5安打)といるだけ。周東は40年ぶり史上5人目(6度目)の珍しい記録を作った。定位置さえ確保できれば、当然ながら盗塁王争いに絡んでくるだろう。

 ところで周東のプロ入り初安打を知っている人はかなりのマニア。答えは意外にも本塁打。4月21日西武戦で4回に投手前にスクイズを決めた後、5回高木勇人から右越えに運んだ。プロ野球で通算200盗塁以上を記録したのは77人いる。うち、プロ初安打が本塁打は50年蔭山和夫(南海=214盗塁)、60年高木守道(中日=369盗塁)、67年阪本敏三(阪急=243盗塁)、69年有藤通世(ロッテ=282盗塁)、76年簑田浩二(阪急=250盗塁)、88年緒方孝市(広島=268盗塁)と6人。将来、周東もこの中に名を連ねる可能性が高い。

 もうひとつ、来季の定位置獲りが追い風になるデータがある。今季代走を含め途中出場では21度盗塁を試み、成功は16度で成功率は・762。それが先発した試合では9度試み全て成功している。常時試合に出ることで走りのカンが研ぎ澄まされる効果も期待できる。いずれにしても守備力、打撃力に磨きをかけ、今季以上に成長した姿を見てみたい。(敬称略)

 ◆宮入 徹(みやいり・とおる)1958年、東京都生まれ。同志社大卒。スポニチ入社以来、プロ野球記録担当一筋。94年から15年まで記録課長。

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