阪神 近本 ミスター超えの154安打「声援で実感」

[ 2019年9月20日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神0―8ヤクルト ( 2019年9月19日    甲子園 )

<神・ヤ>初回2死、右前打を放ち、セ・リーグ新人安打新記録を達成し、記念のボードを掲げる近本。右は新人王を争う村上(撮影・北條 貴史)
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 阪神・近本光司外野手(24)が19日のヤクルト戦で初回に右安打を放ってシーズン154安打とし、1958年の長嶋茂雄(巨人)と並んでいた153安打のセ・リーグ新人安打記録を更新した。

 甲子園に詰めかけた3万6732人が証人だ。プロ初の3番に入り迎えた初回2死。近本がカウント1―1から小川の真ん中低めカーブを捉えると、打球は一、二塁間を破った。153安打で並んでいた長嶋茂雄を上回る154安打でセ・リーグ新人の最多安打記録を更新。令和の新時代を迎え、歴史を塗り替えた。

 「ヒットを打って記念のパネルをいただいた時に少しだけ実感が湧きました。いつものヒットやタイムリーの時とは違う感じでした」

 3番起用にも「深く考えずに3番目に入るということだけ考えていた」と自然体で臨めたという。3安打の固め打ちで記録に並んだ18日夜からこの日にかけては祝福メールがたくさん届いたというが「(記録は)深く考えていない」と意識することなく平常心を保ち、打席に入った。開幕戦でプロ初安打を記録した相手から歴史に残る1本を放ったのも決して偶然ではない。

 矢野監督からの激励も力になった。8月下旬の東京遠征で指揮官と若手選手を中心とした食事会が開催され、直々のエールをもらったことで、より気は引き締まった。

 同期の存在も大きかった。ドラフト3位の木浪とは春季キャンプから行動をともにしてきた。試合前から相手投手の配球や癖などを意見交換し、打席で感じた印象をベンチに戻って互いに伝えるとすぐにメモに起こす。まさに一心同体で1年目を戦ってきた。「聖也がいるので自分もしっかり塁に出てやれることをやってきたい」。8月下旬からは1、2番のキナチカコンビで安打を重ね、記録につながる要因の一つになった。

 「残り6試合あるので、しっかり勝って来年にもつなげていきたい。一日一本は打っていきたいと思います」

 金字塔を打ち立てた夜は悔しい敗戦となり5位に転落。逆転でのCS進出の可能性も限りなくゼロに近づいた。それでも、決して下を向かない。「自分の大事な部分は見失わないように」。記録よりも記憶に残るプレーを目指し、この先もファンを喜ばせていく。(長谷川 凡記)

 ○…近本(神)が初回に小川から右前打。シーズン154安打目で、1958年長嶋茂雄(巨)の153安打を上回るセ・リーグ新人安打の単独トップに立った。プロ野球の新人では単独4位。残り6試合でトップの56年佐々木信也(高橋)180安打超えは困難だが、3位の17年源田(西)155安打を抜けばドラフト制以降の新人最多となる。2位の48年笠原和夫(南海)160安打を抜けば、新人の左打者としても最多になる。

 ○…長嶋が本塁打29本をはじめ、長打が71本で全体の46%とほぼ半分を占めたのに対して、近本は36本で23%と少ない。一方で内野安打は長嶋の23本より10本多い33本。このうちバント安打も7本。万能型の長嶋に対して、近本は持ち味の俊足を最大限に発揮した結果といえる。

 ○…154安打を3つの打球方向に分けると、左へ46本、中へ54本、右へ54本とほぼ均等。左右投手別打率でも対左投手・278(216打数、60安打)、対右投手・272(346打数、94安打)と、状況や対戦相手には得手不得手の偏りのなさが安打量産につながった。

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