【京都】8強進出の京都共栄 スクイズを防ぎ、スクイズで奪い返した救援エース

[ 2019年7月21日 13:28 ]

第101回全国高校野球選手権 京都大会4回戦   京都共栄5―1洛東 ( 2019年7月21日    わかさスタジアム京都 )

<京都共栄-洛東>同じ1死一、三塁。京都共栄は6回表のスクイズを本塁で刺殺(写真上)。その裏、スクイズで同点に追いつき、逆転を呼んだ
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 同じ1死一、三塁でのセーフティースクイズで守っては本塁で刺して失敗させ、攻めては成功させる。6回表裏のスクイズの明暗が勝負のポイントだった。

 この守備・攻撃双方の主役は京都共栄の背番号10の右腕、永川(えがわ)聖人(3年)だ。

 0―0の6回表、先発の遠藤翔海(1年)が連続内野安打で無死一、二塁を背負った場面で登板。「ピンチの場面で出ていく方が好き」というリリーフエースだ。

 バントと左前打で1点を失い、なお1死一、三塁。相手・洛東の4番・川端晃叶(2年)の初球、セーフティースクイズは永川のやや一塁寄りに転がった。出足よく飛び出し、グラブトスで本塁送球。三塁走者を見事刺してみせた。

 神前俊彦監督(63)が「あの2点目を防げたのが大きかった」と言う好守備だった。「投手のエラーは野手のエラーとは種類が違う。致命傷になることが多い。ウチでは投手の守備練習は毎日必ず行っています」

 前日20日も雨で泥んこのなか5人いる投手の守備練習に時間を割いた。試合前のシートノックでも冒頭に投手へのゴロ、バント処理を行う。

 だから、永川も「うまく刺せましたけど、練習でやっていることを普通にやっただけです」と平然としていた。

 1点先取された直後の6回裏、同じ1死一、三塁で永川に打席が回った。「(サインが)出ると予感がありました」と相手と同じ初球セーフティースクイズのサイン。永川は冷静に一塁前に決めた。本塁送球が間に合わない犠打野選で同点に追いついた。

 一、三塁でのセーフティースクイズは高校野球にあって常道作戦の一つだ。打者はバントできるストライクを選んで一塁側を狙って転がす。三塁走者はボールがバットから下方に向いた瞬間にスタートを切る。一塁手に捕らせるのがポイントだ。走者がいるため、一塁手のチャージは遅れる。

 永川も「狙っていた通り、一塁側にできました」と話した。表裏でスクイズの明暗が浮き彫りとなったわけだ。

 永川は投げても4回無失点。今大会全3試合に登板し、14回1/3を1失点と安定感は群を抜く。背番号1の本城楓己(3年)の不調を補っている。

 6回裏は同点の後、敵失で勝ち越し、2死一、二塁から3番・大槻直人(3年)が左翼線に2点二塁打して突き放した。大槻は8回裏にも中前適時打を放ち、計3打点の活躍だった。

 「監督さんに迷惑ばかりかけてきました。本当に父親のような存在です。何とか恩返ししたいと思ってやっています」

 昨年からクリーンアップを打つ大槻だが、背番号は19。その理由を神前監督は「すぐ調子に乗るタイプ。謙虚さを植えつける意味で、あの背番号にしています」と話した。それでも元気で、前向きな3番打者への期待は大きいようだ。

 京都共栄の夏ベスト8は2015年以来4年ぶり。2016年5月就任の神前監督は初めてだ。

 1982(昭和57)年、大阪府立の母校、春日丘を率い、甲子園出場を果たした。同年春の選抜優勝、PL学園など強豪を連破して話題を呼んだ。

 夢を再び、と思いは募る。すでに還暦を過ぎ、京都の監督では最年長の63歳。高校野球に取りつかれ「病膏肓(やまいこうこう)」だというベテラン監督は「まだまだ、これから。まだ6分の3でしょ」と言った。

 甲子園までは6勝が必要。まだ3勝という意味である。(内田 雅也)

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