オリ8年目小島 昇格前は「3軍」扱い 同僚から「マジで天才」と言われるワケ

[ 2019年5月26日 11:00 ]

22日のロッテ戦で中前適時打を放つ小島脩平内野手
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 目立たないが、本当にいぶし銀と呼べる選手がオリックスにはいる。8年目の小島脩平内野手だ。「いやマジで、コジさん、天才ですよ」。駿太の言葉に、私もつい最近、そう思った。

 小島が1軍に上がってきたのは、4月11日だった。開幕から打撃不振だったT―岡田やマレーロに代わって昇格したものだが、当初は同時に上がったロメロや杉本の方が期待値は高かっただろう。だが、ハーマン(楽天)から本塁打を放つなど代打で3試合連続安打と結果を残すと、スタメンに抜てき。すぐに3番や5番といった中軸を任され、ここでも結果を残した。これだけなら、ありふれた話と思うが、小島のすごさは見えない部分にある。

 実は昇格するまで、仲間内では「3軍」とも呼ばれる扱いだった。2軍戦はどうしても育成目的の若手選手や、1軍に送り込むための主力選手に打席が用意される。小島は代打待機が基本。結局、5試合で10打席のみの打率・000。2軍で結果を出しての昇格とは言いがたいが、1軍では苦にする様子はなかった。「(2軍監督の)中嶋さんが勝負所で代打で起用してくれて、集中しやすかったし、良いリズムができた」と後に小島は振り返ったが、周囲からは「ほとんど、投手の球を見ていないのに、あんなに打てるのはすごい」という声も聞こえてきた。実戦機会が少なく、マシン打撃で代用する日々。だからこそ、冒頭の「天才」と呼ばれるに至ったわけだ。

 「自分にプレッシャーを掛けています。今年ダメならクビかもしれないって。でも今、力を発揮すれば必要とされる」

 現状の立場を、本人はこう明かした。30歳を過ぎて、結果を残せていない選手は、どうしても「戦力外」の危機と戦わなければならない。ただ、私の目から見れば、こんな不可欠な存在はいない。この1カ月間、不調の選手に代わり、様々なポジションを埋めた。2軍では守っていなかった三塁をはじめ、一塁、右翼、左翼、さらに5月24日の楽天戦では二塁でスタメン出場。3回には小郷の打球に飛び込んで中前に抜けるのを阻止した。指名打者も入れれば、6つのポジションをこなしたことになる。足も使えるし、打率も3割前後をキープ。風岡ヘッドコーチも「元々、能力のある選手。今まではチーム事情でなかなか使ってあげられなかった」と認める存在だ。

 もちろん、チームメートも認めている。東洋大で2年後輩の小田もその1人だ。「小島さんの打撃はすごかった」と評する一方で、陰の努力を知っている。練習場から打球音が聞こえてきたときは、ほとんどが小島だったという。「これぐらい練習しないとダメなんだ、と僕ら後輩も教わった気がします。感情を出すことは少ないが、背中で見せてくれた主将でした」。主将だった4年春に首位打者を獲得するなど、大学日本代表にも選出されたが、ケガもあった秋は絶不調で数字は残せなかった。「でも、小島さんが打てないなら仕方ない、とみんな思っていた」と、チームの精神的支柱だったという。

 転換期を迎えている今のオリックスに、必要な選手ではないか。小田は「小島さんのすごさを、もっと分かってもらいたいですけどね」と言う。全く、私も同じ意見だ。 (オリックス担当 鶴崎唯史)

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2019年5月26日のニュース