ロッテ藤原、始まりの1安打「ホッとした」球団54年ぶり高卒新人開幕スタメン

[ 2019年3月30日 05:30 ]

パ・リーグ   ロッテ5―4楽天 ( 2019年3月29日    ZOZOマリン )

7回2死、プロ初安打を放つロッテ・藤原 (撮影・白鳥 佳樹)  
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 無心で走り抜けようと思ったが、打球方向を見た。7回2死。三遊間深くへ転がった打球を遊撃が処理する。一塁を踏む前にロッテ・藤原は確信した。

 「きれいな安打じゃなかったですけど、ホッとした。(記録で)名前を残すことができた。将来は目標とされる選手になりたい」

 高卒新人では史上2人目となる「1番」開幕スタメン。球団では65年の山崎裕之以来54年ぶりだったが、安打は球団史上初だった。

 とにかく「全力」だ。初回無死、楽天・岸の初球140キロにフルスイングで挑む。真ん中の絶好球を打ち損じ、ファウルにしたことで苦い表情が浮かんだ。ただ、積極性は変わることはない。2球目の直球はファウル、3球目チェンジアップも振っての右飛だった。3回1死の2打席目でも初球142キロを二ゴロ。リーグを代表する右腕の4球全て全力で振り抜いた。

 「雰囲気にのまれた部分もあり、体が重く感じました」。注目ルーキーも人の子だ。この日、両親から試合出場を聞かれたメールに「分かりません」と返信。母・道子さん(42)は「いつもは“分からへん”ですけど、標準語でした」と息子の緊張を感じ取った。

 ただ、それでも爪痕を残せる非凡さがある。井口監督は「19年の流れを藤原でつくりたかった。ヒットも出た。彼もいいスタートが切れた」と満面の笑みだ。チームは逆転白星発進となり、昨季からのZOZOマリンでの連敗も14で止まった。

 「これからだと思う。まだまだ力が足りません」。周囲のけん騒をよそに笑顔は最小限の藤原。その言葉に無限の可能性を感じた。 (福浦 健太郎)

○…藤原の父・史成さん(43)と母・道子さんは一塁側スタンドで見守った。大阪府豊中市の自宅を午前9時半に出発し、ZOZOマリンに到着したのは試合開始2時間前。無事、初安打も目に焼き付けた。「ホッとしました。打った瞬間、内野安打かなと思いました」と史成さん。記念球は両親に渡したいと言う孝行息子に「次はホームランが欲しいですね」とにこやかだった。

○…藤原(ロ)が1番・中堅で先発。高卒新人野手の先発出場は、2リーグ制後14人目。チームでは55年榎本(当時毎日)、65年山崎(当時東京)に次ぎ54年ぶり3人目。7回の4打席目には遊撃内野安打。高卒新人の開幕戦安打は、先発投手や途中出場の選手を含めても13年大谷以来両リーグ10人目で球団初。うち、内野安打は、54年の投手の梶本(阪急=一塁内野安打)以来65年ぶりとなった。

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2019年3月30日のニュース