啓新前監督・大八木治氏観戦記「最後の9回に、夏に向けてのプレゼントをもらいました」

[ 2019年3月30日 21:14 ]

第91回選抜高校野球大会2回戦   啓新2―5智弁和歌山 ( 2019年3月30日    甲子園 )

啓新―智弁和歌山戦を観戦した大八木治氏
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 創部8年目で初出場を果たした啓新(福井)の初代監督・大八木治氏(65)が甲子園で啓新―智弁和歌山を観戦。東海大甲府(山梨)で3度の甲子園大会4強を誇る名将がスポニチ本紙に観戦記を寄せ、相洋監督時代の教え子にあたる啓新・植松照智監督(39)にエールを贈った。

 最後の9回に、夏に向けてのプレゼントをもらいましたね。0―5のまま終わるのと、1点でも2点でも取るのとでは全然違いますから。安打は啓新が6本で智弁が15本。雨による2時間近い中断もあり、調整が難しい試合だったと思いますが、選手たちは最後までよくやったと思います。

 27日の1回戦・桐蔭学園戦はテレビで見ました。足を絡めて積極的に次の塁を狙うスタイルが印象に残りましたね。この日は、4度あった無死一塁の場面で一度もバントを仕掛けませんでした。私が智弁側の立場なら、バントしてくれた方がありがたい。打ってチャンスを広げられた方が怖いですから。試合後に植松は「打って勝てるか試したかった」と言ったようですが、それで良かったと思います。

 私が東海大甲府で初出場した81年夏は新発田農(新潟)に3―4で負けています。こっちは9安打して、相手を3安打に抑えたのに、恥ずかしかったなあ。試合後に記者の方から「あの場面でなぜバントしなかった?」「なぜ代打を出さなかった?」などの厳しい質問ばかりで(苦笑)。それを考えると、植松は初出場で初勝利。たいしたものです。

 春夏連続出場を狙うには、智弁和歌山の選手のように足腰を鍛えることが大事ですね。攻守交代の時に、啓新の選手は5回くらいから足取りが重くなっていて、智弁の選手は終盤まで走り切れていました。打席では、同じ軽打でも智弁の選手は壁が作れているから強い打球でヒットになる。啓新の選手は体が流れて力のない打球になっていた。そのあたりの課題は植松が一番、わかっていると思う。期待しています。

 ◆大八木 治(おおやぎ・おさむ)1953年(昭28)10月12日生まれ、神奈川県出身の65歳。東海大相模、東海大で捕手としてプレーし、79年から東海大甲府(山梨)を指揮。対戦相手を研究するデータ野球を導入し、85年夏には山梨県勢を初の全国4強に導いた。相洋監督を経て2012年4月、啓新(福井)の初代監督に就任し17年12月に退任。甲子園通算17勝11敗。

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2019年3月30日のニュース