オリ山崎福 余命宣告乗り越えた「奇跡の子」 野球からもらったエネルギー、今度は自分が

[ 2019年3月26日 09:30 ]

オリックス・山崎福也投手
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 今年も3月21日は、無事に過ぎていった。無事だったことに感謝し、幸せを感じる野球選手がいる。オリックスの5年目左腕、山崎福也投手だ。

 「ぼくの人生でやっぱり一番の出来事です」

 11年前の08年3月21日、山崎福は生存率10パーセント未満と言われる脳腫瘍の手術を受けた。いくつかの病院で検査を受けたが「手術は難しい。余命7、8年かもしれない」と言われたほど、目の前が暗くなる悪夢だった。両親はすがる思いで、北海道大学の名医に診察をしてもらい、無事に手術は成功した。あれから11年が経つが、今でも3月21日を迎えると、山崎福は心の中で「感謝」をする。

 「本当に治るのかな。今まで通りの生活ができるのかな、と思いましたし、野球ができなくなるかもしれないと覚悟しました」

 当時、中学3年生だった山崎福はすでに日大三の入学が決まっており、野球部に入るつもりだった。「野球部の監督さんから、どうなろうと3年間面倒を見るから、安心しなさいと言って頂いて。その言葉がすごく心強かった」という。しかし、漠然とした命の不安と、もしかしたら、それ以上に大きな不安でもある「野球ができなくなるかもしれない」という苦しみで、気の晴れない毎日を送っていた。

 手術を受ける前日の3月20日。山崎福は両親とともに札幌ドームで日本ハム―ロッテ戦を観戦し、ダルビッシュの完封劇を見た。球場全体が稲葉ジャンプで揺れていたのを覚えているという。さらに手術翌日の22日、選抜高校野球の開会式があった。兄の福之さんが聖望学園の一員として入場行進している姿に、ベッドから跳ね起きた。「意識がもうろうしていたんですが、行進を見たら、元気が出てきて、病室の中を歩いてしまったんです」。医師や看護師は慌てたという。絶対安静だったはずが、4日後には腹筋を始めた。頭には、開頭手術を物語る医療用ホッチキスが付いたまま。2~3カ月の入院予定が、なんと1週間で退院というまさかの回復を見せた。医師からも「この子は奇跡の子です」と驚かれた。

 野球からもらったエネルギー。不思議な体験だが、今度は自分が与える側になった。「自分がそういう立場にいるのは分かっています。もっと活躍して、同じ病気の方々を勇気づけられるようになりたい」と、3月21日を迎える度に思いを強くする。

 オリックスは今季、開幕戦は札幌ドームで迎える。15年入団の山崎福は、初めて“命を助けてもらった”北海道で開幕を迎える。「確かに、開幕の札幌は初めてになりますね。頑張ります」。笑うと、あどけなさの残る26歳だが、彼が背負う物は大きい。昨季はプロ入り以来、初めての未勝利に終わったが、今年こそファンに「希望」を届けてほしい。(オリックス担当 鶴崎唯史)

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