“イチロー・チルドレン”の中で生き続けるレジェンドの教え

[ 2019年3月25日 08:30 ]

緊急連載 イチローのレガシー(3)

マーリンズ、マリナーズでイチロー(左)の教えを受けたゴードン
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 15年から在籍したマーリンズ、昨季復帰したマリナーズには「イチロー・チルドレン」と呼ぶべき後輩が多く誕生した。

 彼らは毎日同じ時間に同じルーティンに励む姿を見て、真の準備とは何かを気づかされた。16年に急逝したマーリンズのエース右腕ホセ・フェルナンデス元投手(享年24)も、その一人。イチローが初動負荷理論の特殊マシンでトレーニングを始めると「You are the best(あなたは最高だ)!」と声を掛け、頭を下げた。

 若手たちはこぞってレジェンドの野球観に興味を持った。マーリンズ時代のある試合。イチローが内野へゴロを打ち、微妙な判定でアウトになると、セーフを確信したベンチはビデオ判定を求めた。しかし、当のイチローはそのままベンチへ戻った。当時の正捕手リアルミュート(現フィリーズ)が「なぜベンチに戻ってくるんだ?」と聞くと「審判の判定に対するリスペクト」と返答。自身もセーフであることは確信していたが「判定が変わったら戻ればいいだけ」と付け加えた。

 大リーガーは自己主張が強く、自分がセーフと思えばアウトの判定でもその場に残る。リアルミュートも同じだったが、イチローの言葉を聞いて以来、ナイン全員の意識が変化。誰もが審判に敬意を払うようになった。

 自身のプレーや態度で示すだけではない。06年の球宴では、既にスーパースターだったヤンキースのアレックス・ロドリゲスに調整法のアドバイスを求められ、一緒にウオーミングアップ。マーリンズでもマリナーズでも同僚になった弟分ゴードンは打撃の助言を求めた。マーリンズ時代の同僚ボア(現エンゼルス)は一緒に自主トレするために17年オフ、はるばる神戸まで訪れたほどだ。

 マリナーズのジェリー・ディポトGMは言う。「イチローはダライ・ラマ(チベット仏教の最高指導者)みたいなんだ。クラブハウスで彼が椅子に座っていると若い選手が彼の周りに集まってくる。まるで山の上から話すイチローの教えを請うているようなんだ」。引退後もその教えは生き続ける。 (特別取材班)

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