今年も注目の栗山采配 オープナー導入に意欲 候補・金子も「楽しみ」

[ 2019年1月8日 09:30 ]

大吉のおみくじに笑顔をみせる日本ハム・栗山監督
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 昨年12月末のこと。常識にとらわれない采配が持ち味で、キャスター時代からメジャーにも精通する日本ハム・栗山英樹監督(57)が、北海道の自宅がある栗山町で行われたトークショーで自ら切り出した。「メジャーでは初回に3人を抑えるピッチャーがいる。これから日本もどんどん野球が変わっていくと思います」。昨季はレイズなどが積極的に行った「オープナー制度」のことだ。

 レ軍は先発が力みや調整不足で苦しむ初回など序盤の防御率の高さが課題だった。そこで昨年5月19日のエンゼルス戦で右の救援投手のロモを先発起用。効果は絶大だった。そこから他球団にも波及。今季も同制度を駆使する球団は多そうだ。

 メリットは多い。攻撃側にとって初回は必ず1番から始まる計算できる打順。そこに力のある投手をぶつけて抑えれば出鼻をくじくことができる。あくまで予告するのは先発投手のみであり、攻撃側は2番手以降への準備、対策が困難。レ軍は「ブルペンデー」として中継ぎ投手による細かい継投で戦った試合も多い。

 日本ハムが導入するメリットも多い。一週間に6試合が組まれることが多い日本では、計算できる6投手で先発ローテーションを回すことが理想。だが、近年は成長途上の若手が多いチーム事情もあり、栗山監督は上沢、マルティネスなど軸となる投手以外はパズルのようにローテーションを組んでいる。年に数多くある「谷間」は「オープナー」の起用に最適だ。特に3位だった昨季の上位チームである西武、ソフトバンクの上位打線は強力。先発だけでなく中継ぎの経験がある浦野や斎藤、左右関係なく内角を強気に攻める玉井なども候補に挙がりそうだ。

 個人的に最適だと思うのがオリックスから加入した120勝右腕で、栗山監督が「本当の意味でのピッチングができる数少ない投手」と絶賛する金子だ。開幕は先発枠入りする見込みも、指揮官は「能力的には何でもできる」と「オープナー」の候補に挙げる。試合展開によって何度も準備する救援投手よりも確実に負担は少ないため、今年36歳ながら連投も可能。過去に中継ぎや抑えの経験もあり、あらためて「万能」を証明すれば、夢として持ち続けているメジャーの球団が興味を持つ可能性もある。

 勝敗やホールドなどの記録が付かない可能性が高いが、能力が高くないと務まらないポジション。金子も7日に自主トレ地の米国に出発する前の関西空港で「どこかで実現できたらおもしろいなと思うし、楽しみでもあります」と前向きに語った。2019年も栗山監督の采配に注目だ。(記者コラム・山田忠範)

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2019年1月8日のニュース