和歌山大 国立大61年ぶり4強ならずも…歴史刻んだ田頭弾

[ 2017年6月9日 08:15 ]

全日本大学野球選手権第4日・準々決勝   和歌山大4―11上武大 ( 2017年6月8日    神宮 )

<上武大・和歌山大>5回無死一塁、左越え2ランを放ち、沸き上がる三塁側スタンドをバックにホームへ向かう和歌山大・田頭
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 準々決勝4試合があり、初出場の和歌山大は上武大にコールド負けを喫した。国立大では61年ぶりとなる4強入りを逃したが、田頭優人内野手(3年)が5回に左翼席へ2ラン。国立大選手としては19年ぶりとなる本塁打で一矢報いた。天理大は延長10回タイブレークの末に立教大に敗れ、初の4強入りを逃した。準決勝は10日に行われる。

 大会出場唯一の国立大が聖地に確かな爪跡を残した。初出場の和歌山大は上武大に7回コールドで敗戦。1956年の岡山大以来61年ぶりとなる国立大の4強進出はついえたが、3年連続4強入りの強豪を相手に最後まで食らいついた。

 1924年創部の歴史に新たな1ページを刻んだのは田頭だ。7点を追う5回無死1塁から初球の直球をフルスイング。左翼席へ放り込んだ。「雨が降って地面が滑りやすくなっていたので、強い打球を打とうと思いました」。サク越えの本塁打は「人生で初めて」というメモリアルな1発。国立大出身者の本塁打は98年の京都教育大・渡部大地以来、実に19年ぶりだった。

 2回は三つの失策が絡んで3点を献上。中盤に失点を重ねたが、7回無死一、二塁からノーサインで決めた重盗を足がかりに2点を奪った。その直後、田頭は遊ゴロを軽快にさばいたが、一塁へ悪送球。この失策でコールド負けが決まっただけに、「申し訳ないです」と唇を噛んだ。

 上武大の220人に対し、部員64人。専用グラウンドはなく、週4回の練習のうち2回はアメフット部と共有する。キャンプや遠征費などはアルバイトなどで捻出する。スポーツ推薦で得られる人数も1学年に1〜2人。決して恵まれない環境にあっても神宮で戦える術を全国の国立大に示した。「この2試合で神宮に少し爪跡は残せた」と大原弘監督。捕手の真鍋主将も「秋に戻っくる」と力強く結んだ。4年生の大半が秋も野球を続けるつもりだ。(吉仲 博幸)

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2017年6月9日のニュース