山口俊さんお先です!人的補償のDeNA平良「恩返し」プロ初勝利

[ 2017年5月11日 05:30 ]

セ・リーグ   DeNA3―1中日 ( 2017年5月10日    ナゴヤドーム )

<中・D>プロ初勝利を飾りラミレス監督(左)とVサインの平良
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 ヒーローなのに硬い表情が初々しい。「ホッとしてます。勝利球は家族に渡したい」。5回3安打1失点。プロ4年目で初勝利を挙げたDeNA・平良は報道陣に「笑って」と求められ、ようやく白い歯をこぼした。

 FA移籍した山口俊の人的補償で巨人から移った。その山口俊よりも早い新天地の初登板で勝った。「ナゴヤドームの高いマウンドが合う」というラミレス監督の読みが的中。初回に2死三塁を背負ったが、ビシエドを135キロのカットボールで三ゴロに仕留めた。

 カットボールとシンカーが最大の武器。4回にはビシエドを2ボール2ストライクから135キロのシンカーで空振り三振に仕留めた。失点は左犠飛の1点のみ。平良は「右打者へのシンカーが良かった」と振り返った。

 世界遺産の一部「今帰仁(なきじん)城跡」がある、人口1万人に満たない沖縄・今帰仁村の出身。人見知りを直すため、母・八重子さんに無理やり押しつけられた野球だった。地元の北山高では同学年の野球部員は7人。14年1月に巨人の寮に入寮する際に全員が自宅まで見送りに来てくれた。「活躍する姿を見せる」――。その誓いをプロ4年目で果たした。

 巨人入団時はひねりの大きなトルネード投法が特徴だったが、阿波野2軍投手コーチ(当時)の指導でフォームを改造。昨年4月7日の阪神戦(東京ドーム)で1軍デビューするまで成長した。

 育ててくれた巨人と戦力として見てくれたDeNA。「勝つことがどっちに対しても恩返しになる」と先を見据える。ラミレス監督は「次も投げる権利はある」ときっぱり。4回にプロ初安打となる右前打も放ったプロ4年目右腕が2勝目を挙げるチャンスはすぐ訪れるはずだ。 (君島 圭介)

 ◆平良 拳太郎(たいら・けんたろう)

 ☆生まれ 1995年(平7)7月12日、沖縄県国頭郡今帰仁村生まれの21歳。1メートル80、76キロ。右投げ右打ち。

 ☆球歴 5歳から野球を始め、今帰仁中ではエースとして全国大会3位。北山では2年春からエース。最高成績は3年春の九州大会8強で甲子園出場なし。13年ドラフト5位で巨人に入団し、今年1月に山口俊の人的補償としてDeNA移籍。

 ☆トルネード投法 入団時は元近鉄・野茂英雄氏のように投げるトルネード投法が特徴だった。

 ☆今帰仁村 那覇市から車で約1時間半かかり、人口9531人(17年4月1日現在)。中学時代には野茂氏が村役場を訪問。

 ☆大好物 沖縄そば。嫌いな食べ物は卵、牛乳、チーズで「(沖縄名物の)タコライスはチーズ抜きです」。

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