金本監督「雰囲気感じた」“負けて強し”最大7点差から猛追2点差

[ 2017年5月11日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神7―9巨人 ( 2017年5月10日    東京ドーム )

<巨・神>9回無死一塁、福留(8)が併殺に倒れるも、手を叩きナインを鼓舞する金本監督(左)
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 阪神は10日、巨人戦(東京ドーム)に7―9で敗れ、連勝は6でストップした。それでも金本監督は、9点差を大逆転した6日広島戦に迫る、最大7点差から2点差まで猛追した反発力を評価した。

 5回を終えスコアは2―9。昨季までの阪神なら早々と「諦めムード」を漂わせていたかもしれない。淡々とプレーを続け大敗を喫していた可能性さえあったはず。だが、闘将に鍛え上げられた今の猛虎は違う。ベンチ内にいる誰一人、闘志を失った選手はいなかった。その雰囲気を指揮官も感じ取っていたからこそ、敗戦の弁も、いつもとはニュアンスが違った。

 「選手の雰囲気から、もう一回、引っくり返そうという本気度というかね。本当に引っくり返そうという雰囲気を感じたのでね。これからも、そういう気持ちを忘れないように」

 球団史上最大の9点差を大逆転した、記憶に新しい6日の広島戦(甲子園)では5回を終え1―9の劣勢から、6回に一挙7得点を挙げ歴史的勝利につなげた。あの逆転劇をもう一度―。虎党に、そんな夢を抱かせる反撃を、この日も見せた。

 「(高山、北條が)2死からね。アウトになったらチャンスがつぶれてチェンジになるところで、あの2人がよく打った」

 あの日と同じ6回だった。先頭の4番・福留が中前打を放ち、気勢を上げた。主将の一撃を皮切りに無死満塁の好機をつくり、糸原の押し出し四球で、まず1点。2死とされても、あきらめない。相手投手が山口鉄に替わり、再び若虎が牙をむいた。高山の右前打で1点を追加すると、なおも満塁から北條が左中間フェンス直撃の2点二塁打を放った。一挙4得点を挙げ、巨人の楽勝ムードに冷や水を浴びせた。

 さらに9回には中谷のソロで2点差。一発出れば同点の局面まで追い詰めた。結果的には敗れたが、この反撃は決して無駄ではない。同じ負けでも、負け方がある。今年の猛虎は最後まで諦めない―。ライバルに、そのイメージを植え付けただけでも意味がある。次戦にもつながるはずだ。片岡打撃コーチも「反発力というか。最後も中谷が本塁打を打ってくれたり。そういう雰囲気がベンチにはある」と手応えを口にした。

 一昨年秋の就任時からチームに「諦めない姿勢」を注入し続けてきた金本監督は「そういう気持ちがずっと持続していけば、何か違う、今までにない、新しいものが見えてくると思う」と生まれ変わりつつあるチームの「内面」に大きな希望を抱いた。金本阪神の根幹である「超変革」の進行を実証する反攻劇だった。(惟任 貴信)

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