バレ1号のち退場「チームメートを守ろうとして割って入ったら向こうが転んだ」

[ 2017年4月5日 05:30 ]

セ・リーグ   ヤクルト3―1阪神 ( 2017年4月4日    京セラD )

<神・ヤ>5回無死一塁、藤浪の畠山への死球に矢野コーチがバレンティンとやりあう
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 春から激アツ!4日のヤクルト―阪神戦で乱闘が発生し、ヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(32)と阪神の矢野燿大作戦兼バッテリーコーチ(48)が暴力行為のため退場処分となった。5回に阪神・藤浪晋太郎投手(22)が与えた死球を巡り両軍がエキサイト。WBCオランダ代表で活躍したバレンティンは3回に今季1号ソロを放っていたが、まさに「大暴れ」の一日となった。

 5回無死一塁。ヤクルト・畠山が阪神・藤浪の抜けた直球に襲われた。左肩をかすり、左頬に当たった。感情むき出し。マウンド上の藤浪に向かって、言葉にならない声を発する。これを合図に両軍がベンチから飛び出した。「あまりにも危ないボールが多かった。みんなもカッとした」とヤクルト・真中監督。阪神は金本監督以下、首脳陣が先頭に立っていた。

 両軍入り乱れた輪の中にバレンティンが向かっていった。中央に入ろうとして、目の前にいた矢野作戦兼バッテリーコーチを右腕で引き倒した。矢野コーチも跳び蹴りで応戦。2人は退場処分を受けた。試合後、バレンティンは「暴力を振るおうとしたわけじゃない。チームメートを守ろうとして割って入ったら、結果的に向こうが転んだ」と釈明した。バレンティンに目をむいて向かっていった金本監督は「勝負の中で(死球が)当たった。横から不意打ちで殴ってきたら、許せないでしょ」と話した。

 真中監督が「死球の多いピッチャー。しょうがない部分もある」と話したように、藤浪は元来、荒れ球も持ち味の投手。ただ、4回を終えて8四球と、立ち上がりから制球が極端に不安定だった。初回から頭部付近を襲った球も数球あった。

 強打者を封じるための内角球は必要不可欠だが、150キロ超の直球を持つ投手の死球は一歩間違えば選手生命も削られかねない。バレンティンも「今日は全体的に4、5球、危ないボールがあった」と証言する。畠山がぶつけられたことで我慢の限界を超えていた。

 両チームには背景もあった。「去年、谷内が藤浪にやられているのもあった」と畠山。昨年4月19日、谷内が藤浪に死球を受けて左尺骨を骨折した。5月26日にはバレンティンがマテオから死球を受けた。このときも本塁付近で両軍が乱闘騒ぎを起こしている。暴力行為は決して許されないが、伏線となっていた。

 5回終了時、ヤクルトベンチ前で三木ヘッドコーチが野手陣を集めた。「何が悪いとかではなく、この試合を一生懸命戦うことが大事」とナインに冷静さを求め、逃げ切り勝利につなげた。バレンティンは3回先頭で1号ソロ。中堅5階席へ届き、推定飛距離は140メートルにも及んだ。特大の一発でヒーローになるはずが、試合終了時のベンチに姿はなく、後味の悪さが残った。 (川手 達矢)

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