3軍練習は「リアル巨人の星」阿部「自衛隊に入れるんじゃ」

[ 2016年2月17日 08:00 ]

 巨人3軍の朝は早い。2月1日から3月2日まで続く宮崎キャンプ。ナインは午前6時に起床すると朝食をとることもなく、同6時半に宿舎を出発する。日はまだ昇っていないため、あたりは真っ暗。冷たい風が吹く。暗闇の中、約3キロの道のりを歩いて、照明が光る木の花ドームに向かう。「リアル巨人の星」のような、つらい練習が待っている。

 チーム力の底上げを目指し、今季から新設された3軍。昨季まで1軍ヘッドコーチを務めた川相3軍監督も練習施設に歩いて向かう。「散歩をして、筋肉が徐々に温まっていくのが分かる。そして練習に突入するから、自然と体が動くんだよ」。自身の現役時代の経験から選手に散歩を推奨し、体現してみせる。木の花ドームに到着すると、午前7時から約1時間、ナインは打撃マシンを相手にバットを振る。そして1軍のアーリーワークが始まる同8時までに朝練を終え、バスでいったん宿舎に戻って朝食をとる。ここから本格的な練習が始まるのだ。

 1軍が宮崎でキャンプを張った2月1日から14日までは、1、2軍の練習の合間を縫って施設を使用することになった。雨が降れば、十分な練習をすることもできない過酷な環境だ。1軍がメーン球場のサンマリン宮崎を使用する中、3軍は木の花ドームに隣接する吹きさらしのA球場を使用した。ほとんどの時間を体力向上にあて、走りっぱなし。木の花ドームの中から練習を見た阿部が「ずっと走ってるな。自衛隊に入れるんじゃないか」と驚くほどだった。

 14日には2軍の本拠地・ひむか球場で2軍対3軍のガチンコバトルが繰り広げられた。結果は2―0で2軍が勝利した。育成選手が多く在籍する3軍にとって、現実は甘くない。日が沈んで真っ暗になる午後7時まで、泥だらけになりながら練習の日々が続く。休養日も体を動かすことが義務づけられている。

 川相3軍監督は言う。「苦しいと思うんだったら、はい上がればいい。その反骨心が原動力になる」。支配下登録、そして本拠地・東京ドームのグラウンドに立つことを夢見る若者が、今も汗を流している。(記者コラム・神田 佑)

続きを表示

2016年2月17日のニュース