18歳の“怪獣”中田に興奮!今年の春季キャンプの楽しみは…

[ 2016年1月13日 09:15 ]

08年2月、阪神との練習試合で“プロ1号”を放つ中田

 プロ野球記者を長いことやっていると、どうしても慣れが出てきてしまう。ちょっとやそっとのプレーでは驚かなくなった。そんな中でも、日本ハム・中田がルーキーだった08年の沖縄春季キャンプは興奮した。

 18歳の高校生はフリー打撃で打撃投手のボールに空振りをしたかと思うと、まるでピンポン球のようにどこまでも打球を飛ばした。まずは引っ張って左翼場外まで運ぶと、そこから中堅、右翼へと順番にスタンドへ放り込んでいった。バットを振り回すだけでなく、広角に打球を打ち分ける技術も持ち合わせていた。

 スコアボードにも何度もぶち当てたが、その上を越えていく場外弾を見たときにはあぜんとした。大阪桐蔭で通算87本塁打をマークし、推定170メートル弾も打ったことは知っていた。しかし、金属バットと木製バットでは驚くほど飛距離は違う。「金属バットは魔法のつえ。誰でも本塁打を打てる」――。これは甲子園出場を何度も経験した高校野球の名将の言葉だ。

 「平成の怪物」と呼ばれた中田といえども、まだ18歳。ここまで凄いとは思っていなかった。「あれは怪物じゃない。怪獣だよ」。バックスクリーンの上を越えて場外に飛び出した打球を目の当たりにした高橋信二が思わずつぶやいた言葉も印象に残った。そういえば、日本ハムの2軍施設で千葉・鎌ケ谷スタジアムを見た18歳の中田は「狭い。こんなんじゃ、簡単に場外で出てしまう」と言い放っていた。

 両翼100メートル。鎌ケ谷の左翼スタンド後方のバックネットを超えるには推定140メートルの飛距離はいる。「大きなことを言うやつだな」と思ったが、春季キャンプで中田のスイングを見れば、決してビッグマウスではなかった。

 今年の日本ハムは米アリゾナで春季キャンプをスタートさせる。新戦力のルーキーはどうなのか。新たな環境の中で、秘めた潜在能力を覚醒させる選手は出てくるだろうか。「2月1日はプロ野球選手にとって正月のようなもの」とはよく言うが、春季キャンプにはそんな楽しみが詰まっている。(記者コラム・横市 勇)

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2016年1月13日のニュース