新井Vへ2000安打へ“火の玉になる”

[ 2016年1月13日 05:30 ]

しゃく熱の炎を前に護摩行をおこなう新井

 広島・新井貴浩内野手(38)が12日、鹿児島・最福寺で同僚の石原と恒例の護摩行に臨んだ。摂氏400度超の熱さに耐えながら、己の心を鍛え上げた100分間。高野山別格本山清浄心院住職で、同寺法主の池口恵観大僧正(79)からは『全身奉炎』の言葉を授かり、「全身火の玉になってぶつかれば好結果が出る」と期待を向けられた。悲願の25年ぶりのVへ、炎のように突き進む覚悟だ。

 精魂尽き果てていた。約40センチの距離で2メートルを超える火柱と正対し、全身全霊をこめて不動真言を唱え続けた100分間。12年連続の荒行を終えた新井は火ぶくれで顔中を真っ赤にし、フラフラになりながらも今季への決意を新たにしていた。

 「毎回痛いし、苦しいし、怖いし、しんどい。でも、何事も継続することが大事。体力的には順調にきているし、護摩行をやることで気持ちもグッと締まりました」

 池口大僧正がくべた護摩木は2000枚。灼熱に長時間さらされることで、前傾だった姿勢は次第に後ろに傾き、苦痛に耐えかねて顔がゆがむ。「声を出そうとして出しいるわけじゃない。出さないと倒れそうになるので」。堂内に響き渡る絶叫。意識を失うまいと無意識に声を張り上げた。

 復帰元年を全力で駆け抜けた。125試合に出場し、打率・275、7本塁打、57打点の成績を残した昨季。その視線は今季、さらなる高みを見つめる。スクワットで自己最高の240キロを担ぐなど、最強ボディは既に完成。より強い心を宿す鍛錬が護摩行だった。

 新井を長年指導する池口大僧正は『全身奉炎』」の言葉を授け「年齢的にも全身火の玉になってぶつかれ」とエール。「本塁打王(05年)を獲った時と、同じ気が体から出ている。2000本安打は早期に達成できる。その気持ちを持続したら、皆が喜ぶ結果になる」と悲願のVも予言した。

 「2000本安打は通過点と思っている。節目のヒットは、チームの勝ちにつながる場面で打ちたい。年齢を重ねてきたけど、気持ちは去年と同じ。初心に帰り、泥だらけになってガムシャラにやらないといけない」

 最長4泊5日で「一番多い時は7回挑んだこともある」という護摩行だが、今回は1泊2日の短縮日程。酸いも甘いも知るプロ18年生が求めるのは、量より質、黒田と同じ野球観の持ち主が希求するのは、個人記録よりもチームのVだ。

 「今年1年しっかり頑張って優勝したい」

 大台まで29本。金字塔を早期にうち立て、新井が炎のごとき活躍でチームをリーグの頂点へと引っ張る。(江尾 卓也)

続きを表示

2016年1月13日のニュース