1、2部統合か否か リーグ再編問題に揺れる東都大学リーグ

[ 2015年12月23日 09:30 ]

今秋の東都大学リーグで3季ぶり24度目の優勝を飾り、歓喜の輪をつくる亜大ナイン

 東都大学野球リーグがリーグ再編問題に揺れている。混迷を極め、現時点でも来春の開幕日が決まらない異常事態。プロにあまたの選手を送り出してきた名門リーグが岐路に立たされている。

 発端は、昨年2部リーグが使用してきた神宮第2球場が安全性の理由で使用できなくなったことにある。主要開催球場を失った2部は各校グラウンドでホームアンドビジター形式で開催することとなった。その後も優先利用できる球場確保を目指して加盟校の監督らが奔走したが、結果、2部救済のために一つの案が出された。1、2部を統合して12チームとし、神宮球場で開催するというものだ。

 統合案が明るみに出た9月の時点では、監督会が全会一致し、議決機関の理事会に上申して来春からの導入が決定的とみられていた。しかし運営方法が確立されていないなど問題が多く、決定に時間がかかっている。統合すれば確かに球場問題は解消される。一方で、1日の試合数が増え、ナイターまたは早朝からの開催が必要となるため、選手やチームへの負担は必然的に増す。

 入れ替え戦のない「人気の東京六大学」に対し入れ替え戦制度がある「実力の東都」。常に降格の緊張感を抱えることでクオリティーを維持してきた。統合については「これでは戦国東都ではなく天国東都になってしまう」と危惧する声もある。地方に目を向ければ、何時間もかけて試合のために移動するなど厳しい状況で公式戦を運営しているリーグがほとんど。東都3、4部リーグも例外ではない。

 1931年から原則1部6校で続いてきたシステムを根本から変える決断は拙速であってはならないが、来春リーグ戦へ影響を及ぼさないためには、集中した議論が必要だろう。今月初旬には理事会が開催されたが、具体案の公表はなく、東都大学野球連盟・本郷茂理事長は「より精査された内容を次の会議に向けてつくっていく」が語るにとどまった。次回の理事会や評議委員会の日程も未定とされた。

 議論のプロセスが不透明な上に、各機関を橋渡しする調整役の不在も痛い。現在の所属選手、これから東都を目指してやってくる選手を落胆させるようなことは断じてあってはならない。(記者コラム・松井 いつき)

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2015年12月23日のニュース