村田 エラー帳消し打!「眠れない一夜過ごすところ」

[ 2013年10月17日 06:00 ]

<巨・広>9回2死一、二塁、広島・菊池の内野安打で三塁を回った二走・赤松をアウトにする巨人・村田

セ・リーグCSファイナルS第1戦 巨人3―2広島

(10月16日 東京D)
 セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ(6試合制)が16日に開幕し、巨人が広島に3―2で先勝した。巨人は同点の7回2死満塁で村田修一内野手(32)が決勝の右前適時打。2回に2者の生還を許す失策を犯した4番が汚名返上の一打で決めた。リーグ優勝チームの巨人には1勝のアドバンテージがあるため、これで2勝。17日の第2戦にも勝つか、引き分ければ、早くも日本シリーズ進出に王手がかかる。

 良くも悪くも最後まで目立っていた。村田劇場。1点リードの9回2死一、二塁。菊池の三遊間のゴロをダイビングキャッチした坂本からの送球を受けた村田が、三塁をオーバーランした赤松をタッチアウト。ウイニングボールの入ったグラブを高々と掲げた。

 「ヒャ~、(疲労感が)全然違いますね…」

 試合後。村田はベンチ裏の椅子にぐったりもたれかかった。始まりは悪夢だった。2回の守備。1死二、三塁で石原の三ゴロを巧みにさばいたが、本塁への送球が三塁走者の背中に直撃。ボールが転々とする間に2者の生還を許した。

 「先制点を取られれば(相手が)勢いづくといっていたのに、情けない守備であげてしまった。取り返すチャンスはここしかないと必死だった」

 同点で迎えた7回2死満塁の第4打席。外角の136キロ直球をコンパクトに、逆らわず流し打つ。この日3本目の安打が決勝点となった。「勇人(坂本)の同点弾にも救われた。決勝打は僕が打ったけど、みんながカバーしてくれた結果。あそこで打てなかったら眠れない一夜を過ごすところだった」。4番らしく守備のミスをバットで取り返し、やっと笑えた。

 レギュラーシーズンを終え、打ち明けたことがあった。「誰にも言えなかったけど、実は今年ひそかに狙っていたのがゴールデングラブ賞なんです」。誰にも言えなかったのには理由があった。移籍初年度の昨季は打撃で満足な数字を残せない一方で、堅実な守備が評価された。時には「守備の人」とさえ言われた。「守備を評価されるのはうれしかったけど、やはり僕は打撃を期待されて巨人に来たと思うから」。何よりも打棒復活――。そこで守備を目標にするのははばかられた。それでも、投手を助ける守備に懸ける思いは人一倍強い。今季は11失策で、同賞の常連だったヤクルト・宮本の引退で初受賞の可能性も十分。その宮本からは08年北京五輪などで間近で守備を学び、引退の報には「今の僕の守備があるのは宮本さんのおかげ」と静かに感謝した。それだけに自らの守備のミスは許せず「内海には本当に悪かった」と反省の弁は尽きなかった。

 チームがCSファイナルSを戦うのは6度目だが、初戦を制するのは今回が初めて。第2戦は前田健と対することが濃厚だ。「ここを叩けば、一気にうちの勢いが出る」。あと2勝。まずは村田がファーストSを突破してきた広島の勢いを受け止め、しっかりとはね返した。

 ≪初の殊勲打≫村田(巨)が勝ち越しの右前適時安打を含む3安打。CS通算安打は8本目だが、殊勲安打は初めてだ。また、CS猛打賞は昨季日本シリーズ進出を決めたファイナルS(6)戦に3安打して以来2度目。巨人の打者でCS猛打賞が2度以上は小笠原3度、亀井2度に次いで3人目だが、2戦連続は10年ファイナルS(1)(2)戦で小笠原がマークしたのに次ぎ2人目になる。今季の村田はレギュラーシーズンで2点差以内の場面に打率・335。セの規定打席以上の打者ではバレンテイン(ヤ)の・322を抑え最高打率を残しており、短期決戦でも結果を残した。

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