田沢!上原!神継投!タイガース最強コンビ斬りで連勝

[ 2013年10月17日 06:00 ]

<タイガース・レッドソックス>勝利を飾り、決勝ソロを放ったナポリとハイタッチを交わすレッドソックス・上原

ア・リーグ優勝決定シリーズ第3戦 レッドソックス1―0タイガース

(10月15日 デトロイト)
 日本人投手コンビでメジャー最強コンビを斬った。レッドソックスは15日(日本時間16日)、ア・リーグ優勝決定シリーズ第3戦(7回戦制)でタイガースに1―0で競り勝ち、2勝1敗とした。8回1死一、三塁のピンチで田沢純一投手(27)が3番のM・カブレラを、上原浩治投手(38)も4番のフィルダーをいずれも空振り三振に仕留め、完封リレーに貢献した。上原は9回も無失点に抑え、ポストシーズン3セーブ目を挙げた。

 腹を決めた。田沢は球審に新しいボールを要求し、深呼吸した。1―0の8回1死一、三塁、犠飛で同点の場面。相手は3番カブレラだ。3年連続首位打者で昨季3冠王。メジャー最強打者に対して直球勝負に出た。

 「いい打者なので開き直っていった」。初球、外角低めに94マイル(約151キロ)直球を投げ、空振りを奪った。2球目以降も外角を直球で攻め続けた。しかも徐々にボールゾーンにずらした。追い込んで4球目、完全なボール球の94マイルで空振り三振だ。力むカブレラをあざ笑うかのようだった。

 「まさか全て直球なんて思わなかった。大胆にいったと思う。捕手を信じてよかった」。ここで上原にバトンを渡した。守護神は4番のフィルダーを直球2球で追い込むと、最後は外角低めに最大の武器のスプリットを投げ、3球三振。9回も遊ゴロ併殺などで3人で片付け「ホームラン1本で決まる、しびれる試合だった。タズ(田沢)が抑えてくれたのが大きい」と完封リレーを喜んだ。

 8回1死一塁で登板した田沢はハンターに右前打を許した。ここで上原投入の選択肢もあった。だが、ジョン・ファレル監督は「カブレラを抑えるにはパワー(投手)がいい」と続投を決断。背景には2つの理由があった。上原はカブレラに通算5打席で2被本塁打。その強打者は脇腹痛と股関節痛を抱え、ベストなスイングをできる状態ではない。上原よりも直球が約10キロ速い田沢が打者から最も遠い外角低めを攻め続ければ、抑えられる確率が高いというスカウティング・リポートがあったのだ。この継投が的中した指揮官は「あの2つの三振が鍵だった」とハイライトに挙げた。

 日本人2人の必勝リレー。練習では必ず一緒にキャッチボールし、ブルペンでは並んで試合を見守る。野球を一番に考えて行動する姿勢、ブルペンでの気持ちのつくり方。フォームが崩れた時は相談にも乗ってもらっている田沢は「全て勉強になります」と感謝する。

 上原も田沢を「精神安定剤」のような存在だという。「ブルペンに行って、最初からずっと緊張しっ放しでいるよりも5、6回ぐらいまでしゃべれる。精神的に大きい」。救援は抑えて当たり前、打たれれば敗戦の責任を背負う。重圧との戦い。だから、後輩との何げない空間が憩いなのだ。

 シンクロしたように「またあした」と締めた2人。救援投手らしい切り替えの早さだった。

 ▼タイガース・バーランダー(8回4安打1失点、10奪三振も敗戦投手)チームに勝機を与えるには、ゼロを並べなければならなかった。それができなかった。

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