今だから言える…嶋スピーチによる重圧「優勝で救われた」

[ 2013年9月27日 06:00 ]

<西・楽>号泣する嶋を抱きかかえる星野監督

パ・リーグ 楽天4-3西武

(9月26日 西武D)
 涙が次々とあふれ出る。ウイニングボールをつかんだ楽天の嶋がマスクを放り投げ、田中に抱きつくと号泣した。

 「時間が止まったように感じた。いろんな思いがあるし、ここまで頑張ってきた思いがある」

 9回1死二、三塁。絶体絶命のピンチでエースを信頼した。「きょうの直球ならば、押し切れると思った。あいつの力を信じて押しました」。3番・栗山、4番・浅村に対し、8球連続直球で東北の夢をつかみ取った。

 「見せましょう、野球の底力を!」。11年3月11日、東日本大震災が発生し、球界は開幕問題で揺れた。4月2日の復興支援を目的とした慈善試合前には感動のスピーチを披露した。しかし、これが嶋にとって重圧となった。「ファンは一番優勝を望んでいる。逃げたいと思ったこともあった。しんどいと思うこともあった」。チームが低迷時には、「おまえが底力を見せろ」とヤジが飛ぶこともあった。あれから2年半がたち、やっと被災地のファンに優勝をプレゼントできた。

 「(震災から)長いようで、短くも感じた。ただ、長く感じた理由はそれ(スピーチによる重圧)があったから。でも、きょうの優勝で救われました」。優勝したことで、被災地に本当の勇気と元気を届けることができたと胸をなで下ろした。

 昨年12月からは労組・日本プロ野球選手会の会長も務める。どん底の状況から復興を目指す東北のシンボルであるチームを支え続けてきたのは、間違いなくこの男だった。

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2013年9月27日のニュース