最後はやっぱり緊張 マー君「野球人生の中でも感慨深いマウンド」

[ 2013年9月27日 09:00 ]

<西・楽>最後の打者・浅村を三線に取り吠える田中

パ・リーグ 楽天4-3西武

(9月26日 西武D)
 【楽天・田中将大手記】最高です。9回は自分の野球人生の中でも感慨深いマウンドだった。あの場面は力入る。だから入りすぎないように、いれ込みすぎないようにと言い聞かせたけど、正直、やっぱり緊張した。

 優勝した瞬間の思いは「よっしゃ」。それしかなかったです。シーズン前、誰も優勝は期待していなかったと思う。いい意味で裏切れて、よかった。

 今シーズンは登板ごとに調子は上がりました。WBC帰国後に“開幕戦の登板は無理です”と(首脳陣に)伝えて、4月2日に回りました。開幕のマウンドに上がることはできた。でもいいパフォーマンスができたかは分からない。ルーキー(則本)にそこを任せてしまって申し訳ないなという思いもあったけど、体の疲労もあった。だから、あの3日間は大きかった。

 連勝(記録)は自分の力ではない。巡り合わせや運もある。野手の方々に守ってもらい、点を取ってもらわないと勝ち星は付かない。自分のできることは、その確率を上げるだけ。だから、(自己最多の)20勝のときも特別な喜びは何もなかった。周りは連勝、連勝と言うけど、自分の中では“一昨年の防御率よりよくなった”ということを思っているんですよ。

 今年、成績を残せた最大の理由はWBCでの経験。特に精神面。短期決戦は調子がいい選手が起用される。僕はその中ではっきり言って状態も悪かった。それで“抑えなければ”という思いがより強くなった。球数制限もあって例えば“2イニングでも1点を取られたら交代”という状況もあり、余計その気持ちが強くなってしまった。

 だから途中で開き直ったんです。東京ドームでのオランダ戦(3月12日、2次ラウンド)の前ぐらい。“打たれたくないのは当然だけど、まず自分の投球をしよう”と。そう割り切ったら、いい球が投げられるようになりました。だから、シーズン中もWBCで開き直ったときの言葉は常に意識してました。打たれたら技術不足。また練習すればいい。去年のようにマウンドで試行錯誤して、打者ではなく自分と戦ってしまうことはなかったですね。

 コンディションの維持という部分では、みんな遊びたいでしょうし、お酒も飲みたいでしょうし、そこを我慢できるか、できないかの差じゃないですかね。20歳になった時はオフ(誕生日は11月)だったし、そこからちょっと飲んでみましたけど、年々、お酒の量は減っていますね。すでにオフになっても飲まなくなっています。

 東北には、今も地震の前の生活に戻れていない方々が多い。今年は被災地にも足も運びましたけど、やっぱり行ってみないと分からないこともたくさんありましたし、その場所を実際に見ると言葉にならない。安易な言葉で簡単に言えないぐらいです。あらためてこれが忘れられる、風化してしまうのは怖いとも思いました。まだまだ長い時間が必要だし、自分たちができることはしていきたい。復興への気持ちを持った人間が集まって(支援活動を)続けていくことが大事だと思ってます。

 最後に。家族は良いときも悪いときも、自分を支えてくれてます。いてくれるだけでありがたい存在。本当に感謝しています。(東北楽天ゴールデンイーグルス投手)

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2013年9月27日のニュース