マー君最後締めて楽天初V「引いたら負け」で力押し

[ 2013年9月27日 06:00 ]

<西・楽>9回2死二、三塁 浅村を三振に打ち取りガッツポーズの田中

パ・リーグ 楽天4-3西武

(9月26日 西武D)
 最後はエースが締めた。楽天・田中将大投手(24)が26日、西武戦で4―3の9回に今季初の救援登板。鬼気迫る投球で一打逆転のピンチを切り抜け、楽天に球団創設9年目で悲願のリーグ初優勝をもたらした。本拠地の仙台市が大きな被害を受けた11年の東日本大震災を乗り越え、就任3年目の星野仙一監督(66)の下で栄冠を勝ち取った。同投手はファン、被災者へ感謝の気持ちを込めて、スポニチ本紙に独占手記を寄稿した。

 打たれるはずがなかった。優勝を待ち望んだ楽天ファンの、東北に「春」を待つ被災地のファンの思いも白球に込めた。外角低めに153キロの直球。空振り三振。両手を突き上げた。捕手の嶋が来る。ナインが来る。笑顔、笑顔、笑顔だ。歓喜の瞬間。その中心に田中がいた。

 「最後に凄くいい場面で投げさせてもらえた。自分でピンチをつくったけど、引いたら負けだと思った。(野球の神様から)これを乗り越えて優勝しろと言われていると思って、自分で自分を盛り上げた」

 胴上げ投手の栄誉を最も貢献した右腕に任せたいという星野監督の配慮だった。田中に最高の舞台が与えられた。優勝へのマジックナンバー2で迎えた一戦。登板条件は「1イニングを抑えれば優勝が決まる状況」だった。出番は保証されていない。それでも2点のリードを許していた7回の攻撃中に投球練習を始めた。すると、すぐさま打線が逆転。9回攻撃中に再び肩をつくると、登板直前にマジック対象チームのロッテが敗れた。野球の神様が、田中をマウンドに導いてくれた。

 今季は開幕から無傷の22連勝を記録するなど球史に名を刻んだが、開幕当初は万全ではなかった。投手陣のコンディショニングを担当する星コーチは「WBCから帰ってきた時は破たんしている状態。いつ故障してもおかしくない状態だった」と明かす。春季キャンプでじっくりと体づくりができなかった影響もあり、持ち味でもある股関節の柔軟性が消えていた。普通に立っても前傾姿勢になることで左膝も上がらず、「手投げ」で制球も甘くなった。対応策として股関節の可動域を広げるための股割り、尻など周囲の筋力アップに努めた。6月下旬にようやくコンディションが上向いた。

 本来の体を取り戻すと「新フォーム」はいっそう安定した。自身の連勝記録が始まったのは昨年8月。だが「今年は去年と全く違う」と明かす。「自分が納得する球ではなく、打者に打たれない球を投げること」を追求する右腕が、特に求めたのはリリースの力強さ。「力を入れる部分はほんの少し」と話すように、昨年より「脱力」を意識。体重移動がスムーズになった。昨季前半は相手を抑えようと必要以上に力むこともあったが、ピンチで力を入れても上半身と下半身のバランスが崩れず、今季は自己最速の156キロも計測した。

 24歳ながら、もはやチームの精神的支柱だ。今季は交流戦で4勝0敗の好成績で日本生命賞を獲得。賞金100万円を手にした。その賞金で一本約2万円もするスポーツ用のサングラスを40本以上も購入した。ブルペン捕手やトレーナーら裏方スタッフの全員にプレゼント。感謝の思いを、形にしたかった。

 高みを目指す姿勢は今後もぶれない。「来年も今年のフォームで投げているとは限らない。もっとこうしたい、こうなりたい、という思いがなくなったら、それは野球を辞めるときです」。早ければ今オフにメジャーに挑戦する。今季は国内で「無敵」を証明した右腕が海を渡るのは、自然な流れなのかもしれない。

 「今年の主役は俺たち楽天だ!」

 2月の沖縄・久米島キャンプの声出しで海に叫んだ言葉を現実のものとした田中は「優勝は優勝でよかったけど、これで終わりじゃない。ここからが本当の勝負」と気を引き締めた。次は日本一。その目はもう「次」に向けられていた。

 ≪連勝記録は継続≫開幕22連勝中の田中が9回に登板。今季初救援で4年ぶりとなる通算3セーブ目を挙げた。投手の連続勝利は負けが付かない限り中断されない。セーブや引き分けが入っても継続されるため、連勝記録はまだ続いている。

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