中畑監督 バレ四球にブーイングも勝負徹した 4年ぶり50勝

[ 2013年9月2日 06:00 ]

<ヤ・D>執念采配実った!9回1死満塁、DeNA・鶴岡(手前)のスクイズで三走・白崎(右)が生還。捕手・相川

セ・リーグ DeNA2-1ヤクルト

(9月1日 神宮)
 1―1の8回2死走者なし。バレンティンが打席に立つと、捕手のDeNA・鶴岡は座ったまま、左打者が立つ位置でミットを構えた。敬遠に限りなく近い四球。神宮に大ブーイングが起きた。試合後、中畑監督はこう言った。

 「あそこはしようがない。勘弁してください。あのブーイングは、私が甘んじて受けます」

 この回、上田、川端と左打者が続き、左腕の大原は連続三振。バレンティンの後は再び左打者のユウイチとの対戦だった。勝負に徹し、走者がいなくても歩かせたのは「当然」の策と言える。ただ、バレンティンの本塁打を見たいファンが怒るのも「当然」だった。

 中畑監督の持論はこうだ。「メジャーもマグワイアやソーサが本塁打をたくさん打って人気を取り戻した。記録を塗り替えるのは日本の球界にとっていいことだと思う」。巨人で現役だった85年。阪神・バースが55本に近づいた際、マウンドのエース江川に「勝負しろよ」と声を掛けた。「だって敬遠合戦はファンも見たくないだろ?」

 あれから28年が過ぎた。最下位のヤクルトに負け越せば、チーム初のCS進出が遠のく。「それ(4打席目)以外は全部勝負した」と言うように、初回1死一、三塁では小林寛が7球中、内角に6球投げて左犠飛。6回も藤江が内角直球で見逃し三振に仕留めた。

 最後は勝つために歩かせ、9回1死満塁から鶴岡のスクイズで勝ち越した。満塁での決勝スクイズは就任2年目で初めてだった。リーグトップの523得点を誇る打ち勝つ野球を封印し、2カード連続で勝ち越し。4年ぶりの50勝到達で3位・広島と3・5ゲーム差をキープした。「しびれたね。全部出し尽くした野球。みんなの気持ちが一つになった」と中畑監督。敵地の三塁スタンドからは「キヨシ、ありがとう!CS行くぞ!」の大声援も飛んでいた。

 ▼DeNA・鶴岡(9回に決勝スクイズ)サインが出る前に打つしかないと思ったけど、腹をくくった。見事な芯のスクイズでした。

 ▼DeNA・藤江(6回にバレンティンを見逃し三振)きょうはそんなに怖さを感じなかった。思い通りのところに投げられた。

 ≪バント職人本領≫DeNAが今季117試合目で50勝をマーク。チーム50勝以上は横浜時代の09年に51勝して以来4年ぶりになる。また117試合以内での50勝は07年に100試合目に到達して以来だ。この日は9回に鶴岡が勝ち越しスクイズ。今季鶴岡のスクイズは初めてだが、走者を置いてのバントは7度試み全て成功している。なお9、10月トータルでチームが勝ち越したのは05年の18勝13敗1分け(勝率・581)が最後。今季は8年ぶりの終盤貯金をつくれるか。

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