高木監督大はしゃぎ!ブランコ逆転満塁弾 ファイナル進出

[ 2012年10月16日 06:00 ]

<中・ヤ>8回1死満塁、中日・ブランコは逆転満塁ホームランを放ち、大喜びのナインの前でガッツポーズ

セ・リーグCSファーストS第3戦 中日4―1ヤクルト

(10月15日 ナゴヤD)
 中日が鮮やかな逆転勝ちで、巨人への挑戦権を手にした。クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ(3試合制)第3戦が15日に行われ、中日は8回にトニ・ブランコ内野手(31)が、CS初安打となる逆転満塁本塁打を放ち、6年連続のファイナルステージ進出を決めた。ポストシーズンでの逆転満塁本塁打は史上5人目の快挙だった。またパ・リーグはソフトバンクが、西武を3―2で振り切りファイナルステージに進出した。

 71歳の老将、高木監督が「8回表には敗戦の弁を考えていた。まさに起死回生」と子供のようにはしゃいだのも無理はなかった。0―1の8回1死満塁、3ボール1ストライク。ストライクを投げるしかない状況に追い込まれたバーネットに対し、ブランコは「それまでは打てないボールに手を出していた」と甘い速球だけを待ち構えていた。5球目、真ん中に入ってきた144キロにバットを一閃(いっせん)、打球は左翼席に飛び込んだ。

 「十分すぎる感触だったよ。今までの人生で一番素晴らしい打球だった。うれしすぎてどうしていいか分からない」

 大きなガッツポーズで喜びを爆発させ、ダイヤモンドを一周した。

 第2戦で零敗を喫した。ブランコも第1戦から第3戦の第3打席まで11打席連続で無安打と低調だった。負ければ終わりの一戦。高木監督は今季3勝を許したヤクルト・村中に唯一黒星を付けた5月9日と同じ3、4、5番の並びを採用するなど、前日の打順から6人を入れ替え、ブランコは5番に置いた。6回まで4度得点圏に走者を進めながら本塁が遠かったが、最高の形でうっ憤を晴らした。

 今季で中日との契約が切れるブランコには、すでにDeNA、阪神など複数の国内球団が獲得に興味を示している。オフの大争奪戦を前に、自身の価値をさらに高める一発を放ち、ブランコは「今は代理人が球団と話をしている。楽しみにしていてくれ」と不敵に笑った。

 ファイナルS進出を懸けたこの試合は三塁側を中心に内野席で空席が目立った。入場者数は2万3264人で、07年にセ・リーグでCSが始まってから初めて3万人を下回り、史上最少となった。それでも、試合は熱かった。レギュラーシーズンで3位に9・5ゲーム差をつけての2位の意地を見せ、粘るヤクルトを振り切った。巨人への挑戦権を手にし、高木監督は「2位のメンツに懸けてもここは勝ちたかった。(ファイナルSでは)ひと泡吹かせてやりたい」とリベンジを誓った。

 ≪PS5本目の劇的アーチ≫ブランコ(中)が8回に逆転の満塁本塁打。プレーオフ、CSの満塁本塁打は、昨年CSファイナルSの松中(ソ)以来11本目。セでは08年小笠原、09年谷(ともに巨)に次ぎ3本目となり、中日では初めてだ。うち、逆転の肩書つきは82年テリー(西)、04年カブレラ(西)、09年スレッジ(日)に次ぎ4本目。日本シリーズでも満塁逆転本塁打は04年の谷繁(中)しかなく、ポストシーズン5本目の劇的アーチになった。なお、レギュラーシーズンでも満塁本塁打は今季9月4日の広島戦であったが、スコア4―2から打ったもので逆転満塁弾は初の経験。

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2012年10月16日のニュース