正力賞に西村監督“下克上”で満場一致!

[ 2010年11月16日 06:00 ]

正力賞受賞に笑顔の西村監督

 プロ野球界の発展に最も貢献した人物に贈られる今年の「正力松太郎賞」の選考委員会が15日、都内のホテルで行われ、満場一致で就任1年目のロッテ・西村徳文監督(50)が選ばれた。リーグ3位から史上初となる日本一に導いた手腕が評価されたもの。ロッテでは05年のボビー・バレンタイン前監督(60)以来、2人目の受賞。西村監督には金メダルと賞金500万円が贈られる。

 「史上最大の下克上」を成し遂げて手にした最高の栄誉。この日から秋季練習を開始した千葉マリンで会見した西村監督の表情からは、シーズン中の厳しさは消えていた。穏やかに、そして控えめに、何度も「感謝」という言葉を口にした。
 「1年目でいただけて光栄。最高です。評価していただいたことに感謝です。1人の力だけじゃない。みんなの力で日本一を勝ち取ったから。周りに感謝です」
 新監督となった昨年10月には、1年後の姿を想像すらできなかった。就任直後、知人から贈られたのは大好きな芋焼酎「人生ビリヤード」。ビリヤードの球のように人生山あり谷あり、どう転ぶか分からない。開幕前の下馬評を覆しての快進撃。山も谷も乗り越えての受賞に「とんでもない(名誉な)賞。自分に縁があると思っていなかった」と目尻を下げた。
 実直な人柄でチームをまとめた。その一方で頑固でもある。ソフトバンクとのCSファイナルS(ヤフードーム)直前の10月12日。突然のぎっくり腰に襲われ、練習開始直後に宿舎に戻って静養した。選手に心配をかけたくない。相手にも弱みを見せたくない。周囲には何も告げず、翌13日からは腰にコルセットを巻いて指揮。激痛を顔に出すことなく、日本シリーズまで突っ走った。
 バレンタイン前監督の自由奔放な野球で日本一となった05年とは違う、細かいプレー、機動力を重視する西村野球で上り詰めた頂点。前監督との縁を感じるかとの質問には「今は自分が監督をやって、今年一緒に戦った仲間とつかんだもの」とプライドをのぞかせた。スローガン「和」のもとに結束。「来年も“和”が基本線になる」と、今季の手応えそのままに常勝軍団を築く。

 ▽正力松太郎賞 日本プロ野球の生みの親として知られる正力松太郎氏(元読売新聞社社主)の功績を称え、1977年に創設された。その年のプロ野球の発展に大きく貢献した人物(監督または選手)に贈られる。表彰者には金メダルと賞金500万円を贈呈。

 ◆正力賞選考委員 王貞治(委員長、ソフトバンク球団会長)、田口雅雄(野球ジャーナリスト)、杉下茂(野球評論家)、中西太(野球評論家)、山本浩二(野球評論家)=敬称略、順不同=※今年10月7日に他界した大沢啓二氏に代わり、山本氏が新たに選考委員に加わった。

 ≪王委員長「3位からよく頑張った」≫王委員長は、史上初の下克上を生んだCS制度に「監督経験者の立場から」と前置きした上で「シーズン1位ながらシリーズに出られない苦い思いは、一番最初に私が04年にしている。メジャーは30球団あるが、日本は両リーグで6球団ずつ。どういう方法がいいか意見が出てくると思うが、これが絶対というものはない」。西村監督が選出されたことにも「現行ルールを受け入れ、3位からよく頑張ったと評価すべき」と話した。

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2010年11月16日のニュース