横浜に希望の光!筒香“球団史上初”のプロ1号!

[ 2010年10月8日 06:00 ]

7回、筒香は右中間ソロを放つ

 【横浜2-0阪神】未来は背番号55に託された。横浜のドラフト1位ルーキー・筒香(つつごう)嘉智内野手(18)が7日、今季最終戦となった阪神戦で7回に待望のプロ1号本塁打を放った。高卒新人の初安打初アーチは球団史上初。球団売却騒動で揺れる中、本拠地存続を願うファンの前で、イースタン・リーグの2冠王が来季へ希望の光を照らした。

 初球だった。1点リードの7回。先頭の5番・筒香が、久保田の150キロ内角直球をロックオン。力強い弾道で、白球はハマスタの夜空へ飛んだ。超満員のファンが待つ右中間席へ着弾すると、球場全体を突き抜けるようなどよめきが起こった。
 「正直うれしかった。感触は良かったし、ある程度は(本塁打と)分かっていました」
 3試合、10打席目での一発。球団史上初の高卒ルーキー初安打初アーチの快挙だった。9月30日に、横浜の親会社TBSホールディングスの住宅設備大手「住生活グループ」への球団売却交渉が表面化した。以降チームは4連敗。横浜ベイスターズはどうなるのか――。そんな不安を持つ多くのファンを、地元・横浜高出身の18歳が一振りで勇気づけた。
 2月の春季キャンプ。2軍スタートから順調にステップアップし、1軍に途中合流した。だが、プロのレベルへの戸惑いから、鈴木2軍打撃コーチに「自分にはまだ早いので下で練習したいです」と弱気な態度を見せた。すると「それはぜいたくな悩みだ」と一喝されて目が覚めた。初めて年間通して試合に出続ける環境で体重は約10キロ減って引き締まった。高校時代のトップの位置まで大きく引き、豪快に打っていたフォームではプロの変化球に対応できないと痛感。トップの位置を動かさず、飛距離を落とさずにミート力を高めるフォームに改良した。イースタンリーグで出場した試合はすべて4番を務め、26本塁打、88打点で2冠を獲得した。半年間で得た自信。1軍昇格を告げられた筒香は「行きたいです」と即答した。
 尾花監督は「最後に打つのも彼の持っているものがある。来年はフルで使うつもり。(定位置を)実力で奪い取ってほしい」とうなずいた。筒香も「この経験は来年に生きる。ポジションを取るぐらいの気持ちでやる」。スタンドからは「来年、4番頼んだぞ」の声が飛んだ。史上初の3年連続90敗到達という屈辱のシーズン。144試合目に希望の光がともった。

 ≪通算3500勝≫横浜が最終戦で今季48勝目を挙げ、チーム通算3500勝を達成した。プロ野球では史上11チーム目。また同時に、シーズン完投2はセ・リーグ最少記録。従来の記録は07年の阪神などが記録した3。

 ◆筒香 嘉智(つつごう・よしとも)1991年(平3)11月26日、和歌山県生まれの18歳。横浜高では入学直後の春季神奈川大会で4番。2年夏の甲子園準々決勝・聖光学院戦で2打席連続本塁打など1試合8打点の大会タイ記録をマーク。高校通算69本塁打。家族は両親と兄、姉。1メートル83、95キロ。右投げ両打ち。

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2010年10月8日のニュース