西武を支えてきたかつてのエースは「今」にこだわる

[ 2010年2月6日 08:13 ]

 【遊軍・鈴木 勝巳】

 その姿からは、ベテランの決意がにじみ出ていた。西武・西口文也投手(37)は4日の練習でも、誰よりも早くブルペンに入った。キャンプ初日から実に4連投。途中でツメが割れた。トレーナーに接着剤で補強してもらい、さらに黙々と投げた。75球。「今、頑張らないとね」。プロ16年目の春季キャンプで、西口は「今」を必死に過ごしている。
 「4連投って言っても、そこまで力込めてないしね。そんなに球数も投げてないから。球数が増えていったら疲れてできないよ」。いつものようにひょうひょうとした受け答えが、いかにも西口らしい。謙虚な人柄で、ナインの誰からも好かれる。大きな事も口にはしない。それでもブルペンで懸命に投げ込む姿に、かつてのエースの「今」の思いが込められていた。
 96年から05年までの10年間で、7年連続を含む9度の2ケタ勝利。松坂(現レッドソックス)とともに西武投手陣を支えたが、ここ4年間は2ケタ勝利から遠ざかっている。昨年はわずか4勝。シーズン中には中継ぎも経験した。それでも「先発でずっと投げてきたので、そこはこだわりたい」。黄金ルーキー・雄星らと争って先発ローテーションへ。それが「今」の西口の目標だ。
 04年からの4年間は春季キャンプは2軍スタート。実績のあるベテランとして独自調整を続けてきたが、「今」は違う。「フォーム、球筋を確かめつつ、試合で投げられる体を作りたい。自分で自分に刺激を与えて頑張らないと」。プロ16年目。西口は第2クール以降も黙々と投げ続ける。

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2010年2月6日のニュース