万能型４番　稲葉、初回いきなり３ラン！

１回１死二、三塁、右越え３ランを放つ稲葉篤紀

　【ＷＢＣ日本代表１０―０巨人】長打を狙ってなくても、答えは“一発回答”だ。初回１死二、三塁。稲葉はいきなり右翼席に叩き込んだ。初の対外試合で先制３ラン。チームを勢いづけると４回は無死一、二塁から左翼線へ適時二塁打。原監督が目指すつなぎの野球。その象徴でもある４番が最高のスタートを切った。

　「つなぎの４番として特に長打は狙ってない。きょうはたまたまですが、結果が出てホッとしています」。３打数２安打４打点。本塁打は２ストライクからフルカウントに持ち込んで６球目の失投を叩いた。二塁打も２ストライクからの３球目を逆方向へ。追い込まれても粘り強く、甘い球を逃さない確実性が勝負強さを際立たせた。
　前日の昼食中に原監督から４番を伝えられた。「本当ですか？」と言葉を返すと「オレが冗談を言うか！」とピシャリ。ところが宿舎に戻って渡された翌日のメニュー表には違う選手の名前が…。「あっ、違うんだ」。まさかのミスプリント。すぐに訂正されたメニュー表にはやっぱり「４番　稲葉」。気を取り直して大役を果たした。
　「１、２、３番の出塁率が高いからつなぐ意識でこれからもやっていきたい」。宮崎合宿中にヤクルト時代の同僚で２歳先輩の宮本から激励の電話をもらった。「宮本さんにはもの凄く励まされるし（アドバイスは）本当に助かります。普段通りの野球をすれば２連覇は達成できる」。チーム最年長の３６歳はアテネ、北京両五輪で主将を務めた男の意志をしっかりと受け継いでいる。