恩師の「大嶺には負けるな」で片山快挙!

[ 2008年7月3日 06:00 ]

プロ初勝利を完封で飾った楽天・片山は、ファンの手荒い祝福にも笑顔で応える

 【楽天4―0ロッテ】楽天の本拠地の大歓声に片山が全身を震わせた。杜の都に響き渡る「カタヤマコール」。9回2死三塁、今江を遊ゴロに仕留めると21歳、1メートル91の左腕は拳を強く握りしめた。散発3安打、初白星が初完封の離れ業だ。「最高です。四球が多くてダメかなと思ったけど、草野さんたちの守備に助けてもらいました。ファンの皆さんも力を与えてもらって感謝しています」

 序盤のピンチを切り抜けリズムに乗った。2回先頭のベニーを歩かせ1死後、今江に死球を与えたが、早川を三振、西岡を中飛に仕留め快投モードに突入。6回1死一、二塁は三塁・草野の「ど真ん中で行け」という助言に助けられ、2者連続三振で切り抜けた。
 初先発した6月18日の阪神戦(甲子園)は6回3失点で初黒星。予告先発のない交流戦で、先発を告げられたのは試合開始50分前だった。紀藤投手コーチによれば緊張させないための配慮だったがさすがに準備不足は否めなかった。だが2日前に先発を通告された今回は「内角真っすぐを打てていないイメージだったので低めの変化球で振らせることだけを考えた」とロッテを研究。140キロ台の速球と大きなカーブで、20歳・大嶺に投げ勝った。
 岩手・宮城内陸地震の被災者を励ますため「頑張ろう!東北」のメッセージが張られたKスタ宮城のマウンド。兵庫・淡路島出身の片山も95年に阪神大震災を経験している。それだけに「被災者に白星を贈りたい」の思いは強い。この日の午前8時半には寮のベッドで寝ていたところに、恩師・永田監督から電話が入り「大嶺には負けるな」という激励もあった。
 52歳も離れた“孫”の快投に野村監督もご満悦だ。7回裏にはベンチ裏のトイレで一緒になった片山に「まだ行けるか」と質問すると「投げさせてください」と即答した意欲を買って完投を決断したという。「ナイスゲーム。よく踏ん張って完封した。これを機に一本立ちしてくれれば。人を育てるには時間と愛情が大切だということを再確認した」。片山の背番号「28」が江夏と同じことには「一緒にしたら江夏に怒られるよ」と伝説の左腕に敬意を表したが、6月15日の巨人戦(Kスタ宮城)以来の3位に浮上するプレゼントを贈ってくれた片山に再び優しい視線を送った。

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2008年7月3日のニュース