オリックスは“広島の奇跡”を再現できるか?

[ 2008年5月22日 10:39 ]

 オリックスのコリンズ監督が21日、突然辞任した。本人いわく「野球に対する情熱の炎が消えた」というのが退団の“表向き”の理由だ。

 大リーグ444勝監督も、昨年は最下位。その指導法に選手や日本人コーチが露骨に反発、チーム内で孤立していたことが、59歳の誕生日を6日後に控えた外国人監督を精神的に追い詰めたようだ。
 5月時点での監督の退団、休養劇は過去何度もあるが、外国人監督は広島のルーツ(75年)、阪神のブレイザー(80年)があり、今回で3回目。ルーツは審判の判定に抗議したところ、フロントが仲裁に入り「指揮権を侵された」と言って退団。ブレーザーはコールデンルーキーの岡田(現阪神監督)より、自分が連れてきた外国人選手を起用、それが不振でフロントと対立したため、途中下車した。
 このうち広島は5月に守備走塁コーチだった古葉竹識が監督に就任。古葉はルーツが掲げた積極果敢な走る野球を踏襲し、球団創設26年目で悲願の初優勝を勝ち取った。
 ルーツ辞任の段階で広島は6勝9敗1分で首位阪神とは4ゲーム差のセ・リーグ5位。コリンズが辞めたオリックスは21日現在で21勝28敗で同じく5位。首位西武とは9・5ゲーム差もあるが、クライマックスシリーズ進出を最低限の目標にするなら、まだ3・5ゲーム差と、十分届く位置にいる。
 成績不振が原因で辞める監督が多い中で、オリックスはまだ挽回がきく成績。大石大二郎代行監督がこの先も指揮を執るかは分からないが、その手腕によってはチームが変身する可能性はある。
 ただ、33年前の広島と状況が大きく違うのは、ルーツが広島に植えつけた闘争心と勝つための野球を叩き込んだ土台を古葉らがまとめ上げたのに対し、オリックスはキャンプの時点からチーム内がバラバラだったこと。大砲任せの打ち勝つ野球から、小松や山本など先発投手陣が徐々に整備されつつあるだけに、大石代行監督がどうチームを掌握していくのか注目したい。
 

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2008年5月22日のニュース