金本 初打席で“オヤジ”に手向け弾

[ 2008年3月6日 06:00 ]

<神・広>1回、金本は左越えに2ランを放つ

 【阪神7-3広島】阪神・金本の打球は見えない力に後押しされたかのように左翼席まで届いた。昨年12月に胃がんのため亡くなった島野育夫総合特命コーチ(享年63)の追悼試合。昨年10月以来の実戦で左ひざ手術後初の打席。「まさか。自分でもびっくり」という一発が飛び出した。

 当初、先発メンバーに金本の名はなかった。「スタメンも代打もないと言われていたが、どうしても(出たい)という思いがあって」と、試合前に岡田監督に直訴した。急きょ、指揮官がメンバー表を書き換えて1打席限定での出場。カウント1―1から大竹の144キロ直球を無我夢中で振り抜いた一打は、亡き恩師にささげるこれ以上ないアーチとなった。

 親しみを込めて“オヤジ”と呼んでいた島野コーチから、一塁に全力疾走する姿をこっそり褒められたことがあった。試合後は「内野ゴロを打って、全力疾走しようと思っていた。そういう姿を見せたかった」と金本。予想外?の結果となったが「ベースを回りながら、顔がずっと浮かんでいた」としんみり。

 今後は今月中旬までオープン戦には出場せず、調整を続けていく。見せたかった全力疾走はそこからの課題だが「開幕には心配ない。期待してほしい」。ホームランボールは試合後、島野コーチの家族へと届けられた。唯一無二の親孝行。同コーチの笑い声が天国から聞こえてきそうだった。

 ≪久保田―藤川の継投で締めた≫オープン戦初登板の久保田―藤川の継投で試合を締めた。8回から登板した久保田は3人をすべて内野ゴロで打ち取った。カーブや“スラーブ”を数球試したが「追悼試合だったし、全力でいった。何としても勝ちたかったので、勝ててよかった」。一方、150キロ台のボールもあった藤川は、フォークボールを見逃されたことに「フォームが良くなかった。何か癖とかあるのかな」と不安を口にした。

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2008年3月6日のニュース