山梨学院大 上田父子鷹好走 史上初同一校で「監督&選手」出場

[ 2016年1月3日 05:30 ]

山学大・2区ニャイロ(左)から3区上田へタスキを繋ぐ

第92回箱根駅伝

(1月2日 東京・大手町~箱根・芦ノ湖、往路5区間107・5キロ)
 運営管理車から、父の熱い声が聞こえてくる。3区の残り3キロ地点。山梨学院大の上田誠仁監督(56)は言った。「ここの走りで(悔しさを)晴らすしかない!」。次男の健太(2年)は荒い息遣いのまま、ガッツポーズで応えた。92回を数える箱根駅伝で初めて、同一大学の監督、選手として親子出場。歴史的な21・4キロで、一度は抜かれた駒大・中谷を抜き返し、3位をキープして4区の田代(4年)へ。往路4位発進に貢献した。

 晴らすしかない悔しさは1年前にさかのぼる。1区にエントリーされた健太だが、当日変更でメンバーから外れた。今季は1万メートルで28分台をマークし、出雲で4区区間2位、全日本4区7位と力をつけ、ついに箱根路に立った。山梨学院大付高時代に全国高校駅伝で優勝したが、大学入学後は故障に苦しんだ。駆ける息子を見つめる上田監督の胸に去来したのは、感慨よりも感謝だった。「(健太が)陸上をやるよ、と言って、箱根駅伝を走れたことがありがたい」。指揮官は静かに喜びをかみしめた。

 レース後、息子は父に誓った。「来年は区間賞を狙いたい。チームを引っ張っていきたい」。父は厳しい目で、さらなる成長を促した。「5キロすぎまで動きが硬かった。最初からハイスピードで任せられるようにならないと。そういうところが今後の課題」。まだ2年。箱根駅伝出場のチャンスは、あと2回ある。チームを頂点に導く激走で、父をうならせる。

 ◆上田 健太(うえだ・けんた)1995年(平7)7月5日、山梨県甲府市生まれの20歳。甲府北中で本格的に陸上を始め、3年時に全国大会の1500メートル優勝。山梨学院大付高3年時には全国高校駅伝を制した。1万メートルの自己ベストは28分48秒92。1メートル77、55キロ。父・誠仁氏は順大2~4年時に5区を走り、2度の区間賞を獲得。母方の祖父・秋山勉氏も東農大の学生として4年連続で箱根路を走った経験を持つ。

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